第12章 小さな亀裂
千「モモの事だから、今日は自分の奢りだ!たくさん食べろー!・・・とか、言ったんじゃない?」
『大正解だよ、さすが千』
千「だったら、そのモモに甘えてやって?モモは世話好きだから、その方が喜ぶ」
『でも、さすがに人数多いし・・・』
ここのお店自体、早い、美味しい、安い・・・なんてキャッチフレーズを売りにしてるお店とは店構えが違う。
『少しくらいは私も持った方がいいんじゃないかって思うんだけど』
千「今日はモモをジェントルメンにしてあげて?それにほら、僕たちはちゃんと稼いでるから」
『うゎ・・・なんかヤラシイ言い方』
千「それに僕は、いつ愛聖を養う事になっても全然なんともないくらい働いてる」
フフッ・・・と千らしい笑いを浮かべながら言う千に笑い返しながら、そのご心配は当分ありませんよーだと言って、部屋に行こうかと千を促し歩き出した。
部屋の前までくれば、それは賑やかな声が漏れ出していて。
千「随分と楽しそうだ」
そう言って千がドアに手を掛ければ、それとほぼ同時にドアが開けられる。
環「うわっ、びっくり・・・って、ゆきりんじゃん?」
千「ゆきり・・・こんばんは、環くん。楽しそうだね、ここの部屋は」
極当たり前のように四葉さんにゆきりんなんて呼ばれて時が止まりかける千を見て笑う。
千「愛聖。お前は本当にいい先輩ってのを持ってるもんだね」
『そうだね、お陰様で。でもその中には千も入ってると思うけど?』
そう言いながらペロッと舌を見せれば、千がまた笑った。
千「みんなもこんばんは。今日はモモのわがままに付き合わせちゃったみたいで悪かったね」
にっこりと微笑みながら千が言えば、当然、アルコールなしのみんなは急に姿勢正しくなってしまう。
・・・四葉さん以外は、だけど。
陸「ここでRe:valeのお2人と同じ時間を過ごせるなんて・・・オレ感激です!」
一「そんなに感激するなら、せめて口に付いたケチャップを拭いてから挨拶したらどうなんですか、七瀬さん」
呆れながらもお手拭きを渡す一織さんは、少し穏やかな目をしていて。
千「じゃあ、せっかくだから僕が拭いてあげよう・・・はい、取れたよ」
陸「あ、ありがとうございます!・・・どうしよう一織、オレもう一生顔洗えない・・・」
一「七瀬さんがそれでいいなら、どうぞ?」