第12章 小さな亀裂
「そうだけど。ちょっとひと息入れようと思ったらモモからたくさんのラビチャが届いてて。モモにも掛けたんだけど出ないから、それで愛聖に」
それまでの事をそのまま伝えれば、愛聖はクスクスと笑いながら百ちゃんは今、酔っ払い中だからと言う。
ー ねぇ、千?もし・・・大丈夫だったらでいいんだけど、このお店まで来れたりしないかな? ー
「僕が?別に構わないけど、どうした?」
ー ん~・・・実はね、百ちゃん結構たくさん飲んじゃってるみたいで、収拾つかないっていうか・・・あ、もちろん意識はちゃんとあるけど、何人か酔い潰れかけてるのもあってどうしようかな?って。成人組はどうとでもなりそうだけど、未成年のメンバーもいるし、ほら、時間制限とかあるじゃない? ー
愛聖が話すのを聞きながら部屋の時計を見れば、もう暫くすれば未成年が出歩いていい時間が終わる。
「分かった。僕がそっちにモモを迎えに行くから、それまで待てる?」
ー 千、来てくれるの?だったらそれまでは介抱しなが・・・あ、ちょっと百ちゃん抱き着かないで・・・いま電話中だから待ってて ー
百 ー マリーってば、オレを放ったらかしにしな
いでよ~!モモちゃんさみしい!・・・誰と電話してんの?電話なんていいからチューしよう! ー
ナ ー NO!!!マリーとキスなんてワタシが許しマセン! ー
百 ー いいじゃんちょっとくらい~! ー
ー しませんってば!もう、ほら向こう行ってて・・・ あ、もしもしもし千?千が来るまで何とかしておくから気を付けて来てね? ー
「道交法ギリギリラインで急いでいくから。じゃ、後で」
愛聖との通話を切り、軽く身支度をして車の鍵に手を伸ばす。
全くモモは・・・とりあえず僕の家に連れて帰ってきてから、よーく話し合わないとだな。
特に、さっきの愛聖に関して。
盛大なため息を吐きながら靴を吐き、玄関をすり抜けて駐車場へ降りるためのエレベーターへと乗り込んだ。