第12章 小さな亀裂
ナ「NO!!!ミツキ、次はワタシの番だと言うことをお忘れなく?」
『ナギさん・・・さり気なく三月さんの後ろに並ぶの、やめて下さい』
私の太腿の上に頭を乗せたまま寝息を立て始める三月さんの後ろにナギさんがさり気なく並ぶ。
陸「膝枕かぁ・・・オレ、前に大和さんにした事あるよ!その後に壮五さんに」
二階堂さんと逢坂さんに膝枕を?!
いったいどんな経緯なんだろうか・・・
環「順番待ってたら、俺も膝枕して貰えんの?じゃあ、俺も並ぶし」
一「なに言ってるんですか四葉さんまで。兄さん、起きて下さい。風邪ひきますよ」
三「うるさいぞ一織・・・」
ムニャムニャと話す三月さんを揺さぶる一織さんの手を止める。
『一織さん、少しの間このままにしておきましょう』
一「このままって・・・このままですか?」
そう言いながら一織さんが視線を落とし、膝枕状態の三月さんを見る。
『さっきの二階堂さんの話が本当なら、三月さんはそんなに深酒してるようじゃないみたいだし、それならそのうち酔いが覚めて来ると思うし』
これが百ちゃんとかだったら、朝まで絶っっっっ対に起きないだろうけど。
『私なら大丈夫ですから。その代わり三月さんが風邪ひいたりしないように、一織さんは私の鞄からひざ掛けを出して貰えますか?』
陸「愛聖さん、この季節にひざ掛け持ち歩いてるの?あ、もしかして寒がりとか?」
『そうじゃなくて、街中で偶然百ちゃんに会ってここへ来る前に映画を見たんです。その映画館で買いました』
一「この季節、人が多く集まる場所では空調を強めにしている事があります。なので、最初は涼しいと感じていても、そこに長時間いると冷え過ぎてしまう事もありますから。佐伯さんの言うように、映画館などではそういった物を貸し出しているか、販売している所も多いでしょう」
七瀬さんに話しながら、一織さんが私の鞄を持って来て横に置いてくれる。
『勝手に開けても大丈夫ですよ?』
一「いえ。女性の手荷物を勝手に探るほど、私は不躾ではありませんよ」
こういう所、一織さんってしっかりしてて紳士的、というか。
まだ高校生だと言うのに・・・と感じながら、私は鞄から必要なものを出して三月さんにそっと掛けた。