第12章 小さな亀裂
三「おーい、愛聖!ちゃんと楽しんでるかぁ?!」
大「ミツ・・・おまえさん相変わらず酒が回るの早いなぁ。ほら、あんまり愛聖に絡みなさんなって。愛聖、ミツの絡みは気にしないでいいぞ?そっちはそっちで、あ、おいミツどこ行くんだよ」
私と目が合った三月さんが急に立ち上がり・・・え?なんで私の方にまっすぐ歩いて来るの?!
そう離れた距離でもないから、あっという間に三月さんが私の隣にドスンと腰を降ろしてしまう。
三「愛聖~!ちゃんと飲んでるかぁ?!」
うぅ・・・ホントに早くも出来上がってる・・・
ガッツリと肩を抱え込んだ三月さんが私に顔を近付けながら、お酒の入った三月さんのグラスをユラユラと揺らす。
『三月さん、私は今日はソフトドリンクで・・・』
三「なぁんでだよ?愛聖のグラス、空じゃねぇか・・・ほら、たくさん飲め飲め~!」
えっと・・・どうした物かと考えながら、ここは二階堂さんに助けを・・・と振り返れば、二階堂さんは百ちゃんと酌み交わして楽しそうに笑ってるのが見える。
仕方ない・・・ここは取り敢えず、注がれてしまったこの1杯だけを飲んでやり過ごすしか・・・?
そう覚悟を決めてグラスを受け取ろうと手を出せば、そのグラスはスっと誰かの手に奪われてしまう。
一「兄さん、こういうのはパワハラって言うんです。しかも相手は女性ですよ?佐伯さんも流されないで下さい」
グラスを取り上げたのは目の前に座っていた一織さんで、取り上げたグラスをテーブルの端にそっと置いた。
『一織さん・・・すみません、助かりました』
一「既に成人組はアルコールが入って判断力が鈍っているんです。ほら、向こうで唯一、正常を保っているのは逢坂さんだけです。何かあった時に逢坂さんだけでは大人の判断が出来ないかも知れませんから・・・」
ため息を吐きながら一織さんが周りを見て、三月さんにもう一度ちゃんと注意をする。
三「あ~もう・・・わかったわかった。今日はいろんな事が多過ぎて疲れた・・・オレはもう寝るぞ~!」
誰に向けて言うわけでもなく大きな声を出した三月さんが、その場で急にコロンと寝転がってしまう。
のはいいけども!!
『み、三月さん?!あの、ちょっと?!』
陸「あーっ!愛聖さんに膝枕して貰うとか!」