第12章 小さな亀裂
百ちゃんの乾杯コールで皮切りされて、賑やかな食事が始まる。
百ちゃんや二階堂さん、それから三月さんと逢坂さんの大人組は百ちゃんに手招きされて楽しくお酒を飲みだして。
残るメンバーは未成年だからってことで、ソフトドリンクを飲みながらの食事を楽しんでいた。
ナギさんは、ここが日本じゃなければ!とか嘆いてはいたけど。
環「そう言えば、マリーはアッチに混ざらなくていいの?」
四葉さんが大人組の方を見ながら私に聞く。
『私は・・・前の事があるから余程じゃなければお酒はいいんです』
そう答えれば、みんなが苦笑しながらも、なるほど・・・と頷く。
ナ「あの時のマリーは、とても可愛かったデス。ヤマトにキスをせがんでいました」
『ナギさん!その事はもう忘れてください・・・』
環「そうだぞナギっち。マリーは酔っ払ってなくてもカワイイ時あるし」
『四葉さんもやめて下さい・・・四葉さんは時々、ストレート過ぎて、その、照れますから』
いまの言葉といい、さっきの事と言い。
四葉さんはみんなから口下手だと言われているけど、時々こっちがびっくりしちゃうようなストレートな言葉を投げかけてくることがある。
それは必ずしも・・・嬉しい事ばかりでは、ないけど。
陸「環、愛聖さん困ってるだろ?そういう時はちゃんと空気読んだ方がいいぞ?」
一「七瀬さんは四葉さんの事を言えないと思いますけどね」
陸「どういう意味だよ一織!」
一「そのままの意味ですが、なにか?」
うわあ、始まった・・・
陸「それじゃオレが空気読めないみたいじゃんか!」
一「違うんですか?」
こういう時はいつも、三月さんが止めに入ったりしてるんだけど、その三月さんもいまは向こう側にいて顔を真っ赤にして二階堂さんに絡んでるし。
え?
絡んでる?!
『あ・・・三月さん、早くも酔ってる?!』
環「あ、ホントだ。みっきー、楽しくお酒飲むのは好きみたいだけど、いつも誰より早く酔っ払っちゃうからな」
一「そこは兄さんのいい所のひとつです」
いやいやいや?
それはいい所のひとつって言えないと思うけど・・・
どんな時でも三月さん大好きオーラを醸し出す一織さんに小さく笑いながら三月さんに視線を戻せば、タイミング良く三月さんと視線がからんでしまう。