第12章 小さな亀裂
環「俺も!俺も、ちゃんとマリーに謝りたい!土下座でもなんでもするから!だから、ゴメン」
『四葉さん、その事はもういいんです。なので、顔を上げて下さい』
私と向かい合った状態で本当に土下座をする四葉さんにそう言って、四葉さんの肩にそっと触れる。
『皆さんがこうやって、百ちゃんに誘拐された私を迎えに来てくれた・・・それだけで凄く嬉しいから、もう、いいんです』
環「迎えにって言っても、俺たち間に合わなかったじゃん。だからさっきマリー、ももりんにいろいろとあんな事とか言うやつ、されてたし」
『されてませんよ?さっきのアレは、百ちゃんがお殿様ごっこみたいの始めるから何となく逃げてたら、百ちゃんが足を滑らせて転んだだけですから』
ほら?と近くにあった百ちゃんのキャップを指さして、これを踏んじゃったからって説明を加えてみる。
環「・・・マジで?」
百「あはは。まぁ、そんな感じ」
四葉さんが百ちゃんを見れば、百ちゃんも頬をポリポリと掻きながら苦笑を見せた。
環「じゃあ、ホントにマジのセーフ?」
『セーフです。と言うか、なにもありませんでしたよ?』
環「よ、かった・・・マジでビビったからな、俺・・・」
『え?あ、ちょっと四葉さん?!』
大きく息を吐きながら、四葉さんが急に私を抱きしめる。
環「ヤマさんがここに来る前に、早くマリーを奪還しないと大変な事になるからなって言ってて」
『・・・大変な事って、なんですか?』
環「ヤマさんが俺に。マリーが・・・お嫁に行けない体になったら、俺のせいだぞって」
お嫁に行けないって・・・えぇっ?!
環「だからさ。もし、マリーがそうなっちゃってたとかだったら、俺・・・ちゃんと責任取って、マリーの事、その、お嫁に貰わないきゃって腹括って走ってた・・・」
戸惑いながら話す四葉さんの背中にそっと腕を回して、ゆっくりと撫でる。
『四葉さんの気持ちは嬉しいです。でも、私をお嫁に貰うのに、そーんなに覚悟が必要だったなんて知らなかったなぁ?』
クスクスと笑いながら四葉さんに言えば、だって俺まだ高校生だし・・・と私の首筋に顔を埋ませた。
『心配いらないですよ?百ちゃんがそんな事をする人じゃないのは、ちゃんと分かってますから。それよりも問題なのは・・・』