第12章 小さな亀裂
百ちゃんに連れて来られた場所は、前にも来た事があるお店で。
そこは、完全個室タイプの・・・前に楽と食事をしてたら百ちゃんたちにバッタリ会った、お店で。
百「あとどれ位で来るかなぁ・・・マジでオレ腹減って死にそうなんだけど」
私たち2人には広すぎる部屋に案内されて、その空間にいまは私と百ちゃんと2人だけ。
前に楽と来た時の部屋の・・・倍以上はあるよね、この部屋。
『ねぇ、百ちゃん。なんでこんなに広い部屋なの?しかも、確かここって予約しとかないと入れないお店なんじゃ?』
百「だってこれくらいの広さがないとさ、入れないじゃん?オレとマリー、それからアイドリッシュセブンのみんなも来るんだから。それに予約はさっきマリーが電話してる時にネットからパパッと!」
あんな数分の中で予約までしちゃうとか・・・百ちゃん、そんなにお腹空いてたのかな?
だったら・・・
『あのさ百ちゃん?みんながちゃんとここに辿り着くか分からないし、それまで百ちゃん待てないでしょ?だから、百ちゃん先に注文しても・・・』
百「ダーメ。死にそうなくらい腹減ってるけどさ、美味い飯は、楽しい仲間と食べる方が一段と美味くなるだろ?」
『そうかも知れないけど・・・』
あの話の流れでみんなが本当に駆け付けて来るかは保証もないし。
百「大丈夫だって!ほら、三月ってやつも言ってたじゃん?一緒に飯食おうって」
『どうして百ちゃんがそれを?』
あの時はまだ、スマホのスピーカーはオンにはなってなかったのに?
百「あー・・・ちょっと、聞こえちゃったっていうか?オレ意外と野生児だからさ、耳は抜群にいいんだよね~」
う・・・うそ?!
百「それが聞こえちゃった時にさ、マリーの誘拐、拉致監禁を思いついて行動しちゃったってワケ!それにしても遅いよなぁ、アイツら。そろそろオレ、マリーにあ~んな事や、こ~んな事しちゃおうかなぁ?・・・いい?」
『いや、それを私に聞かれても困るというか・・・ち、ちなみに百ちゃんの言う、あ~んな事とかって、なに?!』
百「それはねぇ・・・マリー、もうちょっとこっち来てくんない?」
『え、なんで?!』
百「いいからいいから。悪いようにはしないって」
にっこりと笑いながら手招きをする百ちゃんに、思わずジリッと下がって距離を置く。