第12章 小さな亀裂
❁❁❁ 陸side ❁❁❁
三「···切れた。あの人、愛聖を誘拐して拉致監禁する!とか言ってたけど正気なのか?仮にも絶対王者のスーパーアイドルだぞ?」
一方的に通話を切られてしまったスマホを見つめながら、三月が呟く。
環「でも、ももりんはマリーと一緒にいて、そんで誘拐したんだろ?だったら早く助けに行かねぇと、マリーにあんな事やこんな事するって言ってたじゃん!」
スマホのスピーカーの向こうからは、確かにそう言ってるのが聞こえたけど。
あ~んな事や、こ~んな事って、どんな事だろう?
大「ミツ、愛聖と一緒にいるのは誘拐犯でもなんでもなくて、Re:valeの百さんなんだろ?だったら愛聖が嫌がるような危害は加えたりしないだろ···溺愛してんだから、Re:valeのおふたりさんは」
大和さんが軽く笑いながら言えば、壮五さんも環も妙に納得した様子を見せる。
壮「前にテレビ局で会った時にも仲がいいと言うよりは、Re:valeさんが愛聖さんを大好きなんだってのを感じることは出来たけど」
環「だよな。ももりんもゆきりんも、マリーに前から後ろからギューってハグしてたし」
ま、前からも後ろからもハグ?!
それってなんだか、凄い気もするけど···
百「マリー、ギューっ!」
千「じゃあ、僕も」
『ちょっと···2人とも苦しいってば』
百「だってオレ、マリーが大好きなんだもん!」
千「僕もだよ。もちろん、モモよりずっと、ね」
・・・見せられてる方が照れるような。
今のはオレの想像の中での3人だけど!
浮かんだ構図をかき消すようにブンブンと頭を振り、許可なく熱くなっていく顔を手のひらで扇いだ。
一「七瀬さん?なにをひとりで赤くなってるんです?」
「べ、別になんでもないよ!」
環「もしかしてりっくん・・・マリーでなんかエロいこと考えてたとか?」
「ばっ、ち、違うから!全然違うから!」
爆弾攻撃してくる環にそう言い放って、とにかく愛聖さんを迎えに行かないと!と話を元に戻す。
ナ「行きましょう!ワタシのマリーが助けを待ってマース!」
三「ナギのじゃねぇけどな。じゃ、急ぐぞみんな!」
三月の掛け声でバタバタとみんなで事務所を出発した。