第12章 小さな亀裂
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
万理さんが呼びに来て、オレたちは全員で社長室へと入る。
マネージャーが先にいろいろと報告はしてくれてたけど、オレたちはオレたちで···さっき起きた事を自分らの口から報告する。
小「なるほどね···それで環くんも陸くんも、本気でそんな事を思ってるのかい?」
陸「オレはそうは思いたくないです。けど、そうかも知れないって気持ちもあって···」
環「そうじゃなかったら、なんでマリーはあん時に違うって言わなかったんだよ!」
壮「環くん!愛聖さんはちゃんと違うって言ってたじゃないか。聞く耳を持たなかったのは環くんの方だよ」
環「なんでそーちゃんはいつも俺が悪いって決めつけんだよ!」
壮「決めつけてる訳じゃないよ。ただ環くんは、もう少し冷静になって人の話を聞いてくれないと」
あー···なんか、ややこしくなってきた。
「お前ら、ちょっと静かにしとけ···社長、ひとつ聞きたいんだけど」
はぁ···と大きく息を吐いて騒ぎ出したメンバーを黙らせ社長と向き合う。
「もし、愛聖がリクやタマが言うようにTRIGGERと繋がってたとしたら、社長はどう考える?」
小「彼女がTRIGGERと?そうだね···それはそれで、僕は構わないけど?ただし、ハッキリ言えることはひとつ」
社長はそこで言葉を止めて、オレたち一人一人の顔を順に見た。
小「どこの誰と、どんな風に繋がっていようとも、彼女が君たちを裏切ったりするような事はない。僕は愛聖さんを信じてるからね」
ここにいる誰もが社長の言葉を聞いているはずなのに、誰ひとりとして···なにも言えずにいた。
それはオレも同じだけど···
小「彼女は、本当にアイドリッシュセブンが好きで応援してくれてるんだよ。いろんな面で、自分を犠牲にしていたとしても、だ」
自分を犠牲って、どういう事だ?
一「社長、それは例えばどういった意味合いでしょうか?」
環「だな。ボスの言ってる意味が難しくて、分かんねぇし」
確かにイチやタマが言うように、いつもなら物事をハッキリと言い伝える社長が、こんな風に疑問を漂わせるのは珍しい。
オレたちに話しにくい事でもあるのか?
どう話せば分かりやすいかな?なんて考え出す社長を、オレたち全員で見ていた。