第3章 新しい環境
いやいやいや、変っていうか。
そんなイメージの私ってどうなのよ。
これからずっとドジっ子ちゃん扱いされ続けるのは、ちょっと···ね。
こんなんだったら、私も万理みたいに平然としてれば良かったのかも。
撮影で衣装替えの時なんて、別にスタイリストさんは男の人も居たんだし。
姉鷺さんだって···あ、えっと?
あの人は特別枠だから、なぁ。
とにかく、もしまたこんな事があったらこないだの万理みたいに···
万「···いやん、エッチ」
とか···
言える訳ないよ!!
そもそも今度またこんな事あったらダメじゃん?!
あぁもう止まれ私の思考回路!!
ひとり赤面しながら大きく深呼吸をして気を取り直す。
···やっぱり、今日のところは何もなかったフリをして出よう。
それで、次にここに来る時までには忘れよう。
そして、忘れて貰おう。
···忘れて、くれる···かな??
いやいや、是非とも忘れて頂きたい。
よし、と小さくガッツポーズをしてドアを少し開ける。
···今なら、廊下には誰もいない。
けど。
ドアの隙間から甘い香りが漂って来て、そう言えば三月さんがお菓子を作ると言ってた事を思い出した。
せっかく作ってくれたのに、黙って帰ったら気を悪くしてしまうかも知れない。
それに逢坂さんだって、お茶を···とか言ってた。
···失礼、だよね。
私はここでは一番新人なのに。
やっぱり、普通に出て行って普通にしてよう。
向こうから聞かれることはないだろうし、それなら私から話題を掘り返す必要もない。
再度ガッツポーズをして、今度は思い切りドアを開ける。
万「あ、愛聖。ちょうど良かった」
ば、万理?!
なんで万理がここにいるの?!
『ば、万理のエッチ!!』
万「え?···えぇっ?!」
思い切り叫んで、開けた時と同じ勢いでドアを閉めた。
マズい···自分から部屋を出るタイミングを壊してしまった。
しかもあんな風に叫んだら、尚更ここから出て行きづらいじゃん?!
あ~もう!
いったいどうしたらいいの?!