第3章 新しい環境
大「ま、いいモン見せて貰ったってコトで?ほらお前達、いったん向こう行け?」
体に腕を巻き付けて微動だにしない私を見て、二階堂さんがそう言って三人を後ろに下げながら、部屋のドアを静かに閉める。
ヤバい···恥ずかし過ぎて泣きそう。
なんてタイミングで、なんて格好してる時に、しかもこんな派手なのを着けてる時に!
これからここでみんなと生活が始まると言うのに、しばらく立ち直れないよ···
はぁ···と大きく息を吐き、また誰か来たら困るから今のうちに···と、着ていた物に着替える。
問題のランジェリーは、一度は肌に触れてしまったから箱にはしまえず、仕方なく小さく畳んで鞄に押し込んだ。
この後、どうしよう。
逢坂さん達が頃合いを見てお茶を···とか言ってくれてたけど。
何事もなかったかのように、のんびりお茶なんてご馳走になってる場合じゃない、よね?
ここは隙を見て、急用が···って。
お邪魔しました!って。
急いでここを出て、ひとまず事務所に戻ろう。
事務所まで戻れば、小鳥遊社長や万理は大丈夫と言っていたけど、きっと電話番とか何か仕事はあるはずだから。
うん、そうしよう。
バッグを抱え、まずはドアをそっと隙間程度に開けて様子を探って見ようとノブに手を掛けて、ふと···思う。
あれ···?
これじゃ、まるで私が悪いことしたみたいじゃない?
さっきのはどちらかと言えば、私が被害者だよね??
なにかされた訳じゃないから、一概には被害者とか加害者とかの区切りは付けられないけど。
いや、でも!
ノックもなしにドアをいきなり開けてって言うのはダメでしょ?!
あ、あれ?ちょっと待った···
そう言えばこの前、私もうっかりしてノックなしに脱衣所のドア開けてしまって。
そこにタオル一枚状態の万理と出くわしたんだ。
万理は平然としてたけど、私は慌てたんだよね。
今までの仕事柄、男の人のそういう姿は見慣れてはいたけど、心構えがなかった分、アタフタして。
···四葉さんの事、言えないじゃん私。
仕方ない、さっきのは笑い話にして忘れよう。
やだもぅ~、着替えてたらドアが開いてびっくりしちゃった!とか言って笑って流せば、みんなもホッとするでしょ。
佐伯 愛聖はドジだなぁ、って。
···変、かな?