第12章 小さな亀裂
環「TRIGGERの新曲って···あれは俺たちのデビュー曲じゃん···なのに、なんでアイツらはマリーに連絡してくんだよ!なぁ?!なんでか答えろって!」
『それは私にも分かりません···』
環「なんで分かんねぇんだよ!おかしいじゃん!!」
勢い付いて立ち上がり、私を壁際へと追い込みかけた四葉さんを二階堂さんが慌てて止めに入る。
大「タマ、落ち着けって」
三「そうだぞ環···それについてマネージャーがいま社長と話してるんだろ?」
三月さんも二階堂さんに続いて立ち上がり、四葉さんと私との間に体を滑り込ませて距離を開けてくれる。
環「だって変じゃん!俺たちの曲を新曲として発表したTRIGGERがマリーに連絡すんのとか···絶対おかしいって!」
『そう言われても、私だってあの時は驚いたし···なんでアイドリッシュセブンの曲を···とか、思いましたし···』
みんなが苦労して、辛い思いを乗り越えて、ようやくここまで来たのを私だって近くで見ていて知ってる。
だからこそ、なんでTRIGGERがあの曲をって···
環「マリー···ひとつだけ、聞きたいことがある」
二階堂さんに取り押さえられながらも、四葉さんが私を真っ直ぐに見据える。
環「ホントは···ホントはマリーが···俺たちの曲をTRIGGERに教えたんじゃねぇの···?」
『···え?』
壮「環くん!!自分がなにを言ってるのか分かってるのか?!」
環「だってそうじゃん!TRIGGERのヤツらとは仲良しで!マリーは俺たちの曲はだいたいフリとかまで覚えてて···だから···だから、ホントはマリーが···とか···」
苦しそうな顔を見せながら訴えてくる四葉さんに、心が破裂しそうになる。
そんな風に、四葉さんが思っていただなんて···ショックだった。
壮「環くん!愛聖さんに謝って!」
環「なんでだよ!みんなだってホントはちょっとくらい考えただろ?!俺たち以外、あの曲を知ってるのマリーなんだからさ!」
悲痛な四葉さんの叫びに、その場にいる誰もが一瞬息を飲む。
そっか···そう、なんだ···
何よりも、誰よりも私が一番最初に疑いを掛けられていただとか···
そう考えれば考えるほど、言葉が出なくなる。