第11章 スタートライン
店内に入る早々、私の目に飛び込んでくるのは···
百「絶対に楽だよね?!なんでここで働いてんの?!」
驚きを隠そうともせずにレジに会計処理をする楽に詰め寄る百ちゃんと。
楽「だから違いますって。確かによく似てるって言われますけど、あんなイケメンじゃないんで」
···。
えっと···にこやかに百ちゃんをかわそうとする楽とのやり取り。
そっか、そうだよね。
おじいちゃんと私が店内から離れてしまっていたから、社長たちが会計をしようとすれば、その相手は楽しかいない。
千「確かに楽くんはイケメンかもだけど···モモ?そのTRIGGERのメンバーで、抱かれたい男No.1の彼が蕎麦屋でアルバイトをするなんて、彼のパパが笑顔で送り出すと思う?」
百「じゃあ···やっぱり違うのかなぁ?」
お願い百ちゃん、そこは見逃してあげて!
千「そんなに気になるなら、モモが今度···楽くんを連れて来て見ればいいよ。そっくりさんがいるって言ったら、彼もきっと興味津々になるんじゃない?」
千ーっ?!
チラリと私を見ながら、千がとんでもない事を言い出す。
百「それもそっか!じゃ今度オレ、楽を誘ってみよーっと!」
千「そうね···僕は楽くんのそっくりさんよりも、この僕の愛聖に良く似た彼女の方が気になるけど···さ?」
サラリと伸ばされた腕に引き寄せられ、その懐に閉じ込められる。
『お、お客さん困ります···』
っていうか、サラッと “ 僕の ” とか言ってるけど、違うからね!
岡「う~ん···確かに佐伯 愛聖さんによく似ていらっしゃる···でも別人なのであれば、僕も立候補するのは可能ですよね?」
岡崎さんまで?!
「「 おかりんはダメ! 」」
あたふたする私を他所にして、おかしな話で盛り上がり出す。
「あっはははは!嬢ちゃんはモテモテだなぁ!自分もあと10歳若けりゃ仲間に入れたのによ?」
小「そうですね、僕もそれくらい若かったらご一緒出来たのに」
カラカラと大人組が笑いながら、そんな意気投合を始める。
おじいちゃんも社長も、あと10歳って···それでも私には相当な年上さんだけど?!
小「それじゃご主人、美味しいお蕎麦をご馳走様でした」
「はいよ。また宜しくお願いしますって」