第11章 スタートライン
大「あのさ万理さん。その頃は妹みたいだったって、今は?」
万「いま?」
大「だから、今は?まさかずっと妹だと思い続けてるワケじゃないでしょ?」
万「やだなぁ、大和くん。今夜はちょっと飲みすぎなんじゃない?ほらほら、缶ビール離そうか」
突然の大和さんの発言に、一瞬だけ目を丸くしつつも万理さんが大和さんからビールを取り上げてテーブルに置いた。
陸「それ、オレもいま気になってた!だって愛聖さんて寮に来る前は万理さんの家にいたんでしょ?一緒に寝てたとか聞いたし」
ナ「まさか···バンリ?バスルームも一緒に···?!」
万「な、なに言ってんだよナギくんまで!確かに寝る時は一緒だったけど、お風呂は別だから!」
そこまでムキになられると、怪しいっていうか?
ま、ないだろうな。
なんせ、あのRe:valeの千さんの所にも出入りしてるし。
その···と、泊まったり、だとかもあるし。
あれ···?
そういや愛聖、Re:valeの千さんとも子供の頃に知り合った腐れ縁みたいなもんだとか···言ってなかったか?
万理さんは愛聖が子供の頃に住んでた家の隣に越してきたとか言ってたけど、じゃあ、向こうは?
Re:valeの千さんは、どこでどうやって知り合ったんだ?
もしかして···だけど。
愛聖が子供の頃に、近くに住んでた···とか?
そしたらスゲーよな?!
子供の頃から知り合いの2人が、かたや絶対王者のスーパーアイドルで!
愛聖だって今は少しずつ復帰って感じだけど、前の事務所にいた頃は実力派の期待の新人!とか言われてたんだろ?
そんな2人が子供の頃からの知り合いだとか···スゲー···
そしてその愛聖と居住を共にしてるってのも、ある意味スゲーのか?
事情はともかくとして、いまこの時を一緒に過ごしてるオレも、なんかこう···いろいろと負けられねぇな。
歌やダンスがみんなより出遅れてるとか、そんな事をいじけてる場合じゃねぇ。
オレも、今よりもっともっと頑張らなきゃだ!
もうすぐデビュー曲も発表になる。
それこそ子供の頃からの夢に、手が届くんだからな!
いつか見たゼロを思い浮かべながら、近く発表の日を迎える自分たちのデビューを思って、両手を握り締めた。