第11章 スタートライン
❁❁❁ 百side ❁❁❁
岡「では、確かにお渡し致しました」
小「わざわざ届けてくれてありがとう。本来ならこちらから引取りに行くべきなのに」
いえいえ、なんて社交辞令みたいなのをやり取りする小鳥遊社長とおかりんを眺めながら、オレ達がいるのに出て来ないって事はマリーはいないのか···ちぇっ、なんてこっそり口を尖らせた。
岡「あの···あ、いえ、なんでもありません」
にこやかに話していたおかりんが、急に話す口調を弱めて小鳥遊社長を見る。
小「岡崎くん、大丈夫だよ。あの子はちゃんと前を向いてる。心配な所はまだまだ僕も感じているけど、それをフォローしてくれてる彼らもいるから」
あの子?
彼ら?
そんなワードを聞いて、おかりんがマリーの事を聞こうとしたのが分かった。
「じゃあ、やっぱりここにはいないのか···会えると思ったんだけどなぁ」
千「そうね···」
あからさまに落胆するオレたちを見て、小鳥遊社長がクスクスと笑いだした。
小「天下のRe:valeにそこまで愛されるとか、冥利に尽きてるね、彼女は···そうだ!君たちお腹はすいてないかい?食事は済ませた?」
岡「いえ、僕たちはこの後に食事をと思っていましたから」
小「そうか、それからちょうどいい···かな?」
「ちょうどいいって、どういうこと??」
オレたちのご飯と、社長さんの都合と···噛み合うところなんてある?
小「実は僕も食事はこれからなんだ。もし君たちさえ良かったら一緒にどう?少し行った所に美味しいお蕎麦屋さんがあって、あぁ、もちろん僕のポケットマネーで」
千「···蕎麦?」
ユキ···食べれるもの、あるかな?
う~ん···と考えていると、それを見た社長さんがまた笑いだした。
小「千くんが好き嫌い激しいのは聞いてるよ。でも大丈夫、きっと食べられるものがあるよ。それに今夜はそのお蕎麦屋さんに、とびきり可愛い看板娘がいるから···僕はその子の様子を見に行くのも、ひとつの案なんだ」
看板娘を見に行く?とか、社長さんもなかなか···男じゃないか!
岡「看板娘···それは僕も興味がありますね」
おかりんも男だ!
千「じゃあ、僕も」
ユキも?!
みんながオレの反応を待って、ジーッと見つめるから。
「看板娘最高!って事でオレも行く!」
そう返して笑った。