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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第11章 スタートライン


『ち、違うから!』

楽「そういや前にもあったよな?小鳥遊プロダクションの寮に配達した時も、鰹だしの香りが···とか?」

『それは楽が迫って来たから距離が近かっただけだし!』

あの後はみんなにいろいろと聞き込みされて大変だったんだから。

口説かれてたのか?!とか。

今度があったら、あの蕎麦屋の配達員には気をつけろ!とか。

気を付けようにも、楽だし。

とか、思いながらも笑ってごまかしたんだから。

みんな楽だって気が付いてなかったし。

楽「距離?あぁ、アレか、壁ドンってやつか。女って好きだよな、こういうの」

『あの、楽?別に私は今それを希望してない、し···ほら、誰かに見られたりしたら困、』

楽「俺は困らない。どこの誰にどう言われても、関係ない」

『そういう問題じゃなくて、ですね···えっと···』

ただの八乙女楽ならそれでいいかも知れないけど、TRIGGERの八乙女楽となったら話は別だよ。

私だって、別にやましい事がないなら平気だけど。

事実とは違う事を面白おかしく書き立てる職業の人もいるし。

でもそれを言ったところで楽は平気なんだろうなぁ。

楽「で、どうする?」

『ど、どうするって?』

楽「だから、続き···続行?」

不敵に笑う楽との距離を保とうとクリーニング店の袋を間に挟んで身構える。

『それは···ちょっと···困る、かな?なんて』

しどろもどろになりながら答えれば、楽が我慢ならんという感じで吹き出した。

楽「ばーか。冗談だよ、冗談!お前、そんなに焦る顔することないだろ」

冗談、って!!

『そういう冗談やめてよ!心臓に悪い!』

楽「お前って、構えばちゃんと反応するから面白いんだよ」

『もう!ビックリのドキドキを返して!』

パフっとクリーニングの袋を押し付ければ、それをヒョイっと受け取って楽が私の顔に手を添えた。

『今度はなに?!』

楽「いや···あん時のアザ、消えたんだなって。女が顔にアザ作ってたら、見た目もやばいだろって」

『別に消えたわけじゃないよ···腫れは引いてもなかなかアザは消えないから、舞台用のコンシーラーを使ったメイクで隠してるだけ。さすがに顔にアザ作ったままじゃ、街中歩けないから』

私がそう言うと楽はひと言、そうか···とだけ言って目を伏せた。





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