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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第11章 スタートライン


えっと···紡ちゃんから教えて貰った場所だと、この辺りだと思うんだけど···

手元の地図をみながら、周りを見回してみる。

事務所から少しだけ離れてる、お店。



« そば処 山村 »



あの時に貸してくれたジャケットを返そうと楽に連絡したら、今日は店の手伝いをしに行く日だからと言われて。

それなら、と···待ち合わせ場所をお店にしたんだけど···って、あ!あった!

キョロキョロと見回していれば、すぐ近くのそれらしい店構えの扉が開いて、おじいさんが暖簾を掛けていた。

···のは、いいんだけど。

あからさまにお店の前で立ってるのも変だし···どうしよう。

楽はまだ、私が見える範囲には姿がないし。

とりあえず、お店の角にいれば目立つこともないし大丈夫かな?

一応マスクはしてるし、まぁ、マスクなくったって芸能人オーラってものがないから平気といえばそうだけど。

まだアザは消えてないし、ノーメイクって訳にはいかないからメイクはひと通りしたけど。

それでもお仕事用のではないから、その辺ウロウロしててもバレないでしょ。

お蕎麦屋さんの壁と電柱の間にそっと体を滑り込ませ、時折こっそりと道路に顔を出しては楽の姿を探す。

···まだ来ないかぁ。

八乙女プロダクションからここまでは、それほど距離はないと思うから···そろそろ来るとは思うんだけど。

いまどの辺にいるのかだけでも、ちょっと聞いてみようかな??

ガサガサとカバンを探ってスマホを取り出し楽のアドレスを探す。

「お前、こんな所でなにしてんだ?」

『ちょっと待って···楽のアドレスは···と』

···え、誰?!

ガバッと顔を上げれば、そこには待ち人の姿があって。

楽「張り込み刑事ごっこでもしてるのか?こんな隙間に入り込んでチラチラ様子を伺うとか、子供かよ」

『だって楽がなかなか来ないし、まだかなぁ?って思って』

楽「近くのパーキングに車入れてたんだよ。店の前に路駐する訳に行かねぇだろ?···ってか、お前···刑事には向いてねぇかもな」

別に今から刑事になろうとか思ってはないけど···なんか引っ掛かる言い方な気が···?

『因みに、だけど。どうしてそう思うの?』

コホン···と小さく咳払いをして聞けば、楽は吹き出すように笑い出す。

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