第1章 輝きの外側へ
❁❁❁ 千side ❁❁❁
「Re:valeさん、お疲れ様でした!」
百「ありがとうございました!···腹減ったぁ···ユキ!オレ肉食べたい!今から焼肉行こう!」
「こらこら、こんな時間にそんな物食べたら大変だって」
楽屋に戻る間もずっと肉が肉が!と言い続ける百を宥めながら、最近全くと言っていいほど現場で見かける事がなくなっていた彼女を思い浮かべる。
僕が唯一、共通の思い出話が出来る···たった一人の人物。
少し前なら、あちこちの局で見掛けては声を掛け合っていたんだけど。
ここ数ヶ月の間は、その姿を見掛けることはなくなっていた。
僕が連絡すればいいだけの事なんだけど、それも日々の忙しさのせいにして後回しになってしまっていた。
八乙女プロダクション···彼女が所属する事務所のせいもあるのかも知れない。
あそこの社長、オレはハッキリ言って苦手な分類の人間だ。
それに加えて、一気に勢いを増して来たTRIGGERもいる。
彼らは別に、話が分かる人間だと思ってるし、友好的なメンバーもいるから···いいんだけど、さ?
ふぅ、と息を吐きながら衣装を脱ぎ、長く伸ばした髪を軽く束ねていると百が僕のスマホが鳴っていると運んで来た。
こんな時間に、誰だ?
受け取りながら画面を見れば、そこに映し出されているのは、今まさに考えていたグループのメンバーの名前だった。
「もしもし?こんな時間にどうしたの?」
龍「忙しいのに、何度も掛けてしまって、」
「別に構わないよ。それに、さっき収録が終わったばかりだから、今この電話が最初だから」
何度も掛けて来てた?
その部分に疑問を覚えながらも、ごく自然に会話を流す。
「それで、こんな時間まで夜更かししてる悪い子ちゃんは、僕にどんな用事かな?」
龍「それなんですけど···実は···」
躊躇いながらも話し出す龍之介君の話を聞いて、思わず瞬きさえ忘れるほどの衝撃を受けた。
「どう、して···そんな事に···」
やっと発する事が出来た言葉がそれだけなのが情けない。
龍「話せば長くなるんですが···」
「いいよ、時間なら大丈夫だから。もし君達さえよければ僕の家に来てくれても構わない。僕がそっちに行くのは都合が悪いからね」
そう告げると安堵の声を漏らし、急遽僕の家に集まる事になった。