第3章 新しい環境
❁❁❁ 陸side ❁❁❁
「じゃあ、さっきバタバタガタガタしてたのは愛聖さんが掃除してたからなのか」
キッチンでお菓子作りをする三月と壮五さんに言えば、二人とも手を動かしながらそうだと返す。
壮「僕は掃除とか好きだから、お手伝いしても良かったんだけど。でも相手は女性だし、僕がいる事で出来ない片付けもあるだろうから」
···だよなぁ。
これが環の部屋の掃除!とかだったら、壮五さんは容赦なく気の済むまで隅々を掃除するもんなぁ。
それは···あの部屋を片付ける三月にも、思えることだけど。
定期的にナギの部屋から聞こえる、ナギの懇願する叫び声と···
三「ダストボックスシュート!!」
っていう、三月の声。
それを思い出して、小さく笑う。
「でもさ、少しくらいならオレも片付けとか手伝えたのに」
三「陸は掃除はダメだな。お前の持病って、埃っぽいのとかダメなんだろ?」
「そうだけどさ···なんにも手伝いしないのは何かヤダなぁ」
持病を理由に、なんにもしてあげないみたいで···そんなの仲間外れにされてるみたいで。
壮「陸くんは、掃除以外で愛聖さんにお手伝いしてあげればいいんじゃないかな?」
「それって、例えばどんな?」
オーブンをセットしながら言う壮五さんに、オレはテーブルに前のめりになりながら聞き返す。
壮「例えば···これから一緒に生活をするなら、ほら···食事当番とかなら陸くんも手伝えるんじゃない?」
三「そうだな!今はオレや壮五が主に飯作りしてるけど、愛聖が来たら愛聖が作ったりする日も出てくんだろ?あと買い出しとかさ」
「それならオレも手伝える!」
だろ?という三月に、壮五さんも頷いた。
買い出しとかなら、荷物いっぱいになるから荷物持ちしてあげられるし。
料理の手伝いなら、どうやって切るの?とか。
それでエプロン姿の愛聖さんが、こうやって切るんだよ?とか教えてくれたりしてさ!
エプロン姿の···きっとかわいいだろうなぁ。
動物のアップリケとかついてたりしてさ?
うん、女の子のエプロン姿って、イイよなぁ。
三「陸、お前変な妄想とかしてないか?」
「し、してないよ!!」
三「怪しい···」
ジーッとオレを見る三月に、オレはブンブンと頭を振って見せた。