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〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第11章 スタートライン


小「愛聖さん!···これは···なんてことだ···」

一緒にその姿を見つけた小鳥遊社長も駆け寄りながら、あまりの状態に声を漏らす。

姉「愛聖がいたの?!···ライトつけるわ!」

俺たちの様子を見ていた姉鷺がそう叫び、壁際のスイッチへと手を伸ばすのを感じた。

「待て姉鷺!まだ明かりをつけるな!!」

咄嗟に叫ぶのも遅く、暗闇にいた俺たちの目を眩い光が襲った。

突然の光に視界が閉ざされた後、ゆっくりとその瞼を上げる。

その先に見えた物は、信じられない姿をした愛聖がいて···

千「愛聖···」

百「マリー!!」

ドアの外からでもハッキリとその様子が見えたのか悲痛な声が届いた。

小「とにかく助けないと」

小鳥遊社長の声にハッとして、誰よりも早く愛聖に駆け寄り、自分のジャケットを脱いで包み隠してやる。

『っ···楽···』

口端から細く血を流したままの顔で愛聖が虚ろに俺を見る。

「お前···なんでこんな事に···いったいなにがあったんだよ···」

縛られた手首は赤青く鬱血し、ロープが食い込むほどに締められている。

小「解けた!···っ、愛聖さん?!」

グラリ···愛聖の体が傾き出す。

「おい!しっかりしろ!」

抱きとめた体はまるで糸が切れた人形のようにもたれ掛かる。

姉「女の顔を殴るなんて···」

姉鷺がハンカチを出してそっと口元に当てれば、痛みがあるのか眉を顰める。

龍「誰がこんな酷いことを···愛聖、心当たりはないのか?」

天「龍。こんな時にそんなことを聞くのはタブーだよ」

千「そうね···今はなにより手当が優先だ」

その言葉に俺も頷き、未だ凭れる頭を抱き寄せ···違和感を感じる。

いつもならサラリと指を伝う髪が、途切れている。

「お前···髪もやられたのか?!」

思わず声を上げれば、それに反応して周りのみんなも髪を掬う。

姉「殴るだけじゃなく女の命って代名詞の髪まで···とことん腐ったヤツね!···見つけたらアタシが制裁を食らわしてやるわ!」

怒りを露わにする姉鷺を横目に愛聖を抱き上げ立ち上がる。

「取り敢えずここから出よう、詳しい話は手当てが済んでからだ」

姉「待ちなさい、楽。タイムアップよ」
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