• テキストサイズ

〖 IDOLiSH7 〗 なないろパレット

第11章 スタートライン


楽 ー すぐ行く!だから居場所を教えろ ー

助けて···ただそれだけを言って、不機嫌な声の主はすぐにそれに答えをくれる。

『ここは、』

地下の···そう言いかけて迫る人影にハッと息を飲んだ。

「てめぇコソコソとなにしてやがる!」

あっという間にスマホは取り上げられ、通話を切られてしまった。

「ふざけた事をしやがって···来い、泣く暇もなく遊んでやる」

『いや···離して!』

伸びてくる手を払うように逃げても、それも叶わずに肌に食い込む勢いで腕を捕まれ···そのまま引き倒された。

無機質な床に打ち付けられた体はすぐには言うことを聞かず、ほんの一瞬の隙が出来たところを、遂には床に押さえ込まれる形で逃げ場を失ってしまう。

見知らぬ男の向こう側に見える、無機質な天井。

誰も助けには来ないだろう、この現状。

そんな現実に、怖さと孤独が押し寄せて言葉が···出なくなる。

「ハハッ、さっきまでの威勢はどうしたよ?ま、最初からそうしてりゃ手間は省けたってのに」

押し倒されてまたも肌蹴た素肌をスルリと撫で上げられ、ゾクリと肌を震わせる。

『や···やめて···』

漸く出た言葉は陳腐なもので、嘲笑を受けた。

「拒否権ないって、ま~だ気付かねぇの?」

一度撫で上げた指先を離し、今度はウエストから下に向けて同じ動作を繰り返す。

その手はやがて裂かれた生地の隙間から入り込んで来る。

「なぁ、さっきの電話の奴が探しに来たらヤバいぞ。もうここら辺で逃げようぜ」

もうひとりの男がドアをチラチラと気にしながら言えば、私を押さえ込んでいる人間も···確かにな、と返す。

助かった···そんな甘い考えが浮上した瞬間。

「けどな、据え膳食わぬはなんとやら?ってな」

そう言って、辛うじて繋がっていた衣服が引きちぎられた。

『ぃ、いやぁぁぁぁっ!!』

ありったけの力を振り絞り抵抗すれば、それを押さえ込もうとする相手と揉み合いになり···無我夢中で振りかざした私の手が相手を叩いてしまった。

「ってぇ···こ、の···!」

一瞬の隙が出来て離れようと目を逸らした私の頬に激痛が走り、その勢いでクラリとする。

心持ちが出来ていなかったせいで、舌に広がる不快な味で口の中が切れたのだと自覚する。

痛む箇所を押さえながら、ギュッと目を閉じた。



/ 1348ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp