第3章 新しい環境
小「僕も初めて見ちゃった時には刺激的過ぎて、思考回路が一瞬···凍結したからね···」
しみじみと言う小鳥遊社長がおかしくて、思わず笑ってしまった。
小「まぁ、そういう色々な準備があるだろうから、空き時間を使って買い物に出るといいよ。一人で行くのが寂しかったら僕が一緒に行ってもいいよ?」
···社長までさりげなく私を子供扱いとか。
万「社長はお仕事して下さい···そういうのは俺が行きますから。それにいざ引越しってなったら、俺の部屋から愛聖の物も運び出さなきゃいけないし」
『万理、私の所持品なんていくらもないんだから···有能事務員さん “も” お仕事して下さい?』
万「あはは···そう言わずに。仕事はちゃんと就業時間内に終わらせるから。ほら、有能事務員だし?」
『でもお部屋に行ってみないと、何が必要なのかとか分からないし。まずはこの荷物達と一緒にお部屋に行く事から···なんだから。それまではちゃんと有能事務員してて下さいね?』
そう言って万理を通り越し、台車を持って来なきゃ···とドアを開ける。
『あ···』
そこには気まずそうに立ち尽くす、三月さんと逢坂さん···それから、二階堂さんがいた。
三「立ち聞きするつもりは、なかったんたけどさ」
壮「ノックしようとしたら、三人の話し声が聞こえて来て」
大「ま、そういうこった」
もしかして···聞かれた?
もし全部聞かれたとしたら、私がいま万理の家に寝泊まりしてる事が···バレた?
顔色を悪くする私と、バツの悪そうな三人。
お互いの間に、微妙な空気が流れて行く。
三「まさか、とは思ってたけど。やっぱり、八乙女プロダクションから移籍して来たんだな」
『え···』
壮「実は僕も、初めて紹介された時···どこから来たのかって位は、気が付いてた」
大「大人の事情ってヤツなんだろ?ま、いいんじゃないの?ここに所属を移したって事は、同じ事務所の同僚ってことで···ん?一応、後輩って事になんのか?」
えっ···と···?
聞かれたのって、そこ?
万理の部屋に···ではなく?
大「取り敢えず、お前さんの歓迎会をした時に···お兄さんいろいろ突っ込んで聞いちゃうぞ~?覚悟しとけよ?」
ひとりで戸惑っていると、二階堂さんは···なぁんてな?と笑っていた。