第11章 スタートライン
「だけど···だけどさ!」
千「モモ!···とにかく落ち着いて。ほら、深呼吸。はい、吸って···吐いて···もう1度···どう?少しは落ち着けた?」
ユキの心地良い声が耳を通り抜け、その声で促されるままに深呼吸を繰り返して···漸く、いつもの自分を取り戻す事が出来た。
「ありがとうユキ···なんとか落ち着けたよ」
千「そう。なら、良かった」
そんなオレたちを見ておかりんがホッと息を吐き、社長さんもまた···マリーに電話を掛け始める。
小「···やっぱり出ない、か。もしかしたらマナーモードにしたままの状態になっているのかも知れないね」
それは···有り得る、とそこにいる誰もが小さく頷く。
小「とにかく状況は良くない。なんとか彼女を見つけ出さないとだ」
岡「千くんに百くん。Re:valeの今日の仕事はさっきので終わってるので、小鳥遊さんにお手伝いしましょう」
「「 当然!! 」」
ユキと声を揃えて言えば、但し!とおかりんがひとつ咳払いをする。
岡「深入りし過ぎてお互いがどうにかなっては元も子もありません。もしなにかあったら必ず連絡を取り合うこと···これが条件です」
大きく深くクギをさされながらも、それでもマリーがどこに連れて行かれてしまったのか探し出すのが最優先だから、ユキもオレも、おかりんが出した条件をすんなり受け入れた。
小「こちらの事情に巻き込んでしまって申し訳ないけど、今はそんな事を言っている場合でもないことは確かだ。謝罪やいろいろなことは後日こちらから伺いを立てるという事で···宜しくお願いします」
深々と頭を下げる社長さんに、オレたちはそんなのいらないからと大きく手を振って···とにかくマリーを探さないと!と頷きあった。