第11章 スタートライン
『社長?やっぱりみんなにはセクシー路線ってのは···』
小「大丈夫だよ、心配しなくても。彼らには彼らの歩き方があるのは、僕もちゃんと分かってるから」
···ですよね。
じゃあ、いまの私の駆け出してた想像の賜物は···どうしたらいいんでしょう。
小「ま、成人組は···イザとなったら、かな?」
『あ···はは···』
もう、笑うしかない状況のままモニターを見る。
そこには超絶笑顔を振り撒きながら歌って踊る千がいて。
いまのRe:vale···というより、いまの千だって、過去の千が見たらびっくりしちゃうと思うけど。
なんせ私と初めて会った時なんて、とんでもない感じだったから。
モニターの向こうで今もまだアイドルらしく笑顔を見せる千を見ながら、その時のことを思い出す。
あの頃の千って、誰に対しても容赦ない毒舌っぷりだったよな···それも万理だけじゃなく、私にも。
子供ながらに、鬼や悪魔が人間に変身したら千なんだろうとか思ってたし。
あんまり意地悪だったから、万理にそれを言ったらお腹を抱えて笑ってたっけ。
これは千には内緒だけど。
でも実際は···こんな風に絶対王者とか言われる超絶スーパーアイドル、なんだよね。
小「曲が終わっても歓声が止まらないね···さすがRe:valeって感じかな」
『そうですね···でも、アイドリッシュセブンだって、いつかはTRIGGERやRe:valeを超える日が来るかもですよ?』
小「彼らなら、いつかきっと超えてくれる日が来ると僕も信じてるよ」
『私だって信じてますよ?だって社長がご自分で見つけ出した原石たちなんですよ?』
エッヘン!と胸を張って見せれば、社長も少し照れながらも、嬉しそうに微笑んだ。
小「そんな日が早く来るといいね」
百「そんな日が早く来たら、オレたちは困っちゃう」
『えっ?百ちゃんいつの間に?!』
社長と向き合って話していたから、ステージから戻って来たのを気づかなかったよ。
千「そう?僕は全然、気にならないけど?誰が追撃しようとしても、それよりもっと···優雅に羽ばたき続ければ良いだけだからね」
百「キャー!ダーリンイケメン過ぎ!」
額に滲む汗をタオルで押さえながら言う千は、自信に満ちた顔で笑っていた。