第11章 スタートライン
「マネージャー、ちょっと···」
スケジュールが書き込まれた手帳を見るマネージャーを呼び、この後の私たちのスケジュールがどうなっているのかを一緒に確認する。
紡「まずはホテルに荷物を置いて、スタッフの皆さんと打ち合わせを終えたら自由時間とします。撮影は明日の早朝、浜辺で何パターンか撮る予定です」
「自由時間なんて···そんなのんびりで大丈夫なんですか?」
自由時間なんて言ったら、それだけで騒ぎ出しそうな人がいるというのに。
紡「それなら大丈夫です。自由時間と言っても、オフショットなどを撮る為の時間なので、お仕事と言えばお仕事ですから。普段通りにお買い物やのんびりとした時間を楽しんで頂けたら、後はスタッフの方が」
「分かりました、それなら早く移動しましょう。オフショットをとなれば、場所や枚数が多い方がいいでしょうし」
それもそうですね、とマネージャーが言ってタクシーを抑えに駆け出した。
その間に出来ることは···ひとつしかありませんね。
足早にメンバーのいる方へと戻り移動を伝えると、各自荷物を纏めながら自由に動き出しそうな六弥さんを兄さんが、買い食いをしそうな四葉さんを逢坂さんがそれぞれ捕まえておく。
紡「みなさん、お待たせしました。タクシーの用意が出来たのでお願いします」
三「ほらナギ!お前はオレと一緒な」
ナ「ミツキ、耳掴むのやめてクダサイ!」
壮「ほら環くん。今から買い食いしたらご飯が食べれなくなっちゃうよ?」
環「だって腹減ったんだもん」
これから7人揃ってデビュー出来るっていうのに、こんなんで大丈夫なのかと思いやられる。
大「イチ、おまえさんはオレと一緒の車でいいか?」
「えぇ、構いません」
大「ま、ちょっとばかり話があるからさ。主に愛聖の事だけど、アイツらがいると話にくいこともあるから」
「分かりました。マネージャーが手配してくれた車は3台ありますから、私と二階堂さんとで1台使わせて貰いましょう」
二階堂さんがいう佐伯さんの話というのが気になりながらも、車に分乗してしまえば内容が分かるだろうと思い、それぞれマネージャーに指示された車に乗り込む。
まさか二階堂さん、四葉さんのようにお土産どうするか···なんてことは、言わないですよね?
ここへ着いて早々の事を思い出しながら、眉を寄せた。