第11章 スタートライン
それからの数日間はあっという間に過ぎて行き、とうとうみんなが沖縄へと発つ日の朝が来た。
大「ホントに大丈夫か?」
『大丈夫です!もう、二階堂さん毎日確認するのやめましょうよ···』
沖縄へPV撮影に行くと聞いた日から、私の顔を見れば留守番ひとりで大丈夫か?を繰り返す二階堂さんにため息を吐いてみせる。
三「2日分までのちょっとしたもんは冷蔵庫に入れてあるからな?困ったら万理さんに頼むとかしろよ?絶対、自炊禁止な!」
『アハハ···了解です』
環「マリー、お土産なにがいい?」
『そうですねぇ···じゃあ、なにかカワイイものをお願いします。迷ったら一織さんに聞くといいですよ?』
環「いおりんに?なんで?」
紡ちゃんと忘れ物はないか最終チェックをしている一織さんを見て言えば、四葉さんが不思議そうな顔をして私を見た。
『う~ん···なんとなく、かな?』
環「分かった。そんじゃ、マリーのお土産買う時には、いおりんと一緒に店に行くことにする」
カワイイものを···って言うなら、きっと一織さんなら大丈夫。
むしろ、一織さんのストレス解消になるかも?
平静を装いながらもお土産屋さんを覗き歩く一織さんを想像するだけで、なんだかちょっと楽しい。
一「なにをそんなにニヤついているんです?」
いつの間にか目の前にいた一織さんが、ひとつため息をつきながら私を見下ろす。
『それはですね、沖縄に着いてからぜひ体験して下さい?』
一「···体験?」
『ちょっとした体験型アトラクションだと思ってくれれば···それ以上は内緒です』
一「言ってる意味がよく分かりませんが···まぁ、行けば分かると言うことなんですね?」
別に沖縄じゃないと出来ない事じゃないけど、きっとその方が楽しいかな?と思って笑ってごまかした。
大「全員集合!忘れ物チェックは終わってるか?そろそろ出発するぞ?」
リーダーらしい掛け声のもとに、みんながざわざわと集まる。
紡「では、出発しましょうか」
ニコリと笑う紡ちゃんに、それぞれが手荷物を抱える。
『行ってらっしゃい!PVの仕上がり楽しみにしてますね!』
大きく手を振って見送って、自分もそろそろ支度しないと···と時計を見る。
今日は···あのRe:valeのトーク番組に出演が決まってるから。