第10章 不測の事態
❁❁❁ 百side ❁❁❁
事務所での事があって、それがどうしても頭から離れなかったからユキん家に泊まる!って、着いて来たのはいいけどさ。
帰って来て、ひと通りの事を済ませてからずっとユキは何かのノートを見てばっかりだし。
オレもちょっとは構ってよー!って感じで、姿勢正しくイスに座るユキの後ろから抱き着いてみる。
千「こら、モモ。イタズラはダメだ」
「だってユキってば、さっきからノートと睨めっこでオレ退屈なんだもん!···あれ?コレってもしかして?」
千「その、もしかしてだよ」
「オレも見ていいやつ?」
ユキが睨めっこしてたノートは、ユキがマリーに出した課題の歌詞で、すっごく興味ある!
千「大丈夫だよ。Re:valeが作曲するんだから、モモも参考の為に読み込むといい」
やった!と両手を上げながらユキの隣に座ってノートを覗き込めば、マリーらしい綺麗な文字で綴られた詞があって、前のめりになりながら読んでいく。
ノートにはタイプの違う歌詞が幾つも書いてあって、あんなに書けない書けないって悩んでたのに頑張ったんだなって、オレも嬉しくなった。
「なんか凄いな愛聖って。女性目線のとか、逆に男性目線のとかあって···あ、これとかちょっと···ほんのちょっとだけど、エロくない?!」
千「モモもそう思う?その歌詞に関しては僕もそう思ったよ。でも、どの歌詞も等身大の愛聖その物だ」
等身大···ねぇ。
もしかしてマリーってば、好きな人でもいるとか?
全体を通して見ても、誰かを思う気持ちが篭ったワードが多い気がする。
···のは、オレだけ?
「あ、オレここの部分って好きかも」
その歌詞を辿ってユキに見せれば、登場人物をカタカナで表してる辺りが特徴的だよね、と目を細めた。
「ね、ユキはどこら辺の詞が気になる?」
千「そうね···気になるっていう部分であれば、これかな」
パラパラとページを捲ってユキが指した部分は···愛聖にしてはちょっと刺激的なワードが並んでいて、なんだか胸の奥がムズムズした。
マリー···オレたちの知らないところで、“ オトナ ”になったりとか、してないよね?!
千「モモ、このページ見て。ここの歌詞だけ、曲を付けようとした努力が見える」
「え?どこどこ?!」