第10章 不測の事態
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
環「みっきー、腹減った···」
「はいはい、もうちょい待っとけ?さっき愛聖から電話来て、今日は愛聖が蕎麦奢ってくれるって言ってたぞ?」
環「マジで!やったぜ···じゃあマリーが帰るまで王様プリン食いながらガマンする」
いや、そこは食わずに待てよ···と笑いながら、でもホントにいいのか?なんて考えたりもする。
いくらお代は私が出すからって言われても、ざっと10人前以上になる事を考えたら、破産するんじゃねぇのか?とか。
ウチには腹減り育ち盛りの高校生もいるんだし。
ま、環だけどな。
一織は環みたいにガッツリ食べるってより、出された食事は食べるって感じだし。
大「ミツ、そんなに気にすんなって。愛聖が払うって言ってたけど、いざとなったらオレが払ってやるからさ」
「まぁ、オレも払うつもりではいるけど、毎日のように飯の支度してたから、なんか手持ち無沙汰っぽくてよ」
主夫だねぇ···とニヤリと笑う大和さんに、うっせーな!と返しながらも、どこか落ち着かない自分に小さく笑う。
デザートくらいなら、いいか?
時間も手間も掛からずに簡単に出来るものだったら、愛聖も気を悪くしないだろ。
んで、材料は···っと?
ん···これからアイツも好きだし、速攻で出来っからいいな。
冷蔵庫や戸棚からガサゴソと材料を揃えて、カウンターに並べていく。
壮「三月さん、僕も手伝うよ。何だか落ち着かなくて」
「壮五もか?そんじゃ、それを片っ端から開けてってくれ」
取り出した缶詰を指さして、水分を切るためのザルも壮五に渡す。
ヨーグルトも少しは水分切っとくか?
缶詰のフルーツから水分出るから、その方がいいしな。
ボウルにザルを重ねてペーパーを敷いて、パック入りのヨーグルトを開け零していく。
毎回コレ作る度に、愛聖は喜ぶんだよなぁ。
···イチゴも入れてやっか?
嬉しそうに食べてくれる愛聖の顔を思い浮かべ、つい、顔が緩む。
大「ミツ···おまえさん意外とエロいなぁ。なに企んでんだ?」
「企んでねぇし!オッサン邪魔だから向こう行ってろよ!」
からかいに来る大和さんを追い払い、エロいってなんだよ!と呟いてみる。
別に···下心なんてねぇからな!
た···多分。