第10章 不測の事態
そう言いながら百ちゃんが大きなソファーに千を転がした。
岡「あとは自分がブランケットでも掛けておくので、皆さんは向こうでお茶をどうぞ」
岡崎さんに言われて、私も百ちゃんも部屋を後にする。
紡「大丈夫だったんですか?」
オロオロする紡ちゃんに、千が寝落ちしちゃって···と説明すると、Re:valeさんはいつもハードスケジュールの様ですから···とドアを振り返った。
そうだね、と笑ってから···ふと、考える。
さっき岡崎さんは、千が最近あまり良い睡眠が取れていないようだって言ってた。
それに百ちゃんも、突然あんな風に寝てしまう千を見慣れてる感じがした。
もしかして千···眠れないのかな?
万理がいなくなってからも、暫くは寝れない夜を過ごしてた時期があるみたいだったし。
会う度に寝不足で不機嫌で。
まぁ···不機嫌はいつもと変わらずな感じではあったけど。
とりあえずはノートをあっちの部屋のテーブルに置いて来たし、せっかく岡崎さんがお茶を用意してくれたんだから、それをご馳走になったら帰ろう。
百「マリー、ちょっとだけ···いいかな?」
『私?別にいいけど···でも、』
百「あ~、彼女なら大丈夫。おかりんがマネージャー同士のおしゃべりしてるからさ」
そういう事なら、と紡ちゃんにちょこっと離れるねと伝えて、百ちゃんの後に着いていく。
案内された部屋は、さっきの千がいる場所とはまた違う部屋で。
『百ちゃん···先に聞いとくけど、百ちゃんまで急に寝たりしないよね?』
百「えっ?それは大丈夫だよ!オレはいつもグッスリ寝てるからさ!···それより、ユキのことなんだけど···」
『千の?』
私がそう返すと、百ちゃんは普段見せることのない神妙な顔を表に出した。
百「あのさ···最近のユキ、ちょっと変なんだよ」
『変?それって、いつも···じゃない??』
百「確かに···じゃなくてさ!こないだユキの家に泊まった時、ユキがうなされてるので目が覚めて、それがあんまり辛そうだったから揺り起こしたら···なんでもないからって、悲しそうに笑ったんだよ」
千が、うなされてた?
百「そん時はオレも、じゃあ大丈夫だね?って笑ったんだけど···その後ユキは、自分の手のひらをずっと見つめてて、その時の感じが···あの時に似てたんだよ」