第10章 不測の事態
❁❁❁ 紡side ❁❁❁
「私が愛聖さんの、ですか?」
小「お願い出来る?あ、もちろんアイドリッシュセブンのスケジュールと被ったら、彼らを優先してくれて構わないよ。その時は僕が出るし、僕がダメなら最悪は万理くんが」
社長に相談があるからって呼ばれたから、アイドリッシュセブンの事かな?って思っていたけど。
まさか私が、愛聖さんのマネージャーを兼任する話だとは。
でも、どうしていま···お父さ、社長は急にそんな事を言い出したんだろう。
今までは社長がずっとマネージャー代理として同行してたのに。
「ひとつ、聞いてもいいですか?」
小「いいよ、なに?」
「これまで社長が同行してたのに、なぜ今、このタイミングでマネージャーを変更することに?」
思っていたままを言えば、社長は、それはね···と眉を下げた。
小「紡くんの耳にも入ってると思うけど、先日ちょっと困った事案が発生してね。それ自体は万理くんの迅速な仕事ぶりで自体は落ち着いたんだけど···実は···」
社長が話す内容に、一瞬···自分の耳を疑った。
それは愛聖さんにとっても、胸を痛めた事だろうとも感じる内容で。
驚きのあまり言葉をなくす私を見て、そういう事が簡単に起きてしまうのがこの世界でもあるんだよ···と社長が言った。
小「あれ以来、特に何か起きた訳じゃないけど念の為に。愛聖さんは女性だし、僕や万理くんじゃ着替える場所に立ち会う事は難しいし、その辺を考慮するなら紡くんなら同性として大丈夫でしょ?」
「そうですけど···」
小「もちろん、イザとなったら僕や万理くんも例え愛聖さんが裸でいる場所でも飛び込む覚悟はあるよ?だけど、それはあくまでも最悪の事態の時だ」
社長が話す最悪の事態っていうのを想像して、もし私なら、そんな最悪の事態の時だとしても···異性が飛び込んで来るのを考えると···気が重くなる。
「分かりました。暫くは出来る限り愛聖さんのマネージメントも担当します。アイドリッシュセブンの方とスケジュールを照らし合わせて、被らないように調整します」
小「ありがとう紡くん。宜しくお願いするよ」
社長の言葉に大きく頷いて、まず最初に自分のすべき事は···と考えながら社長室を後にした。