第10章 不測の事態
❁❁❁ 楽side ❁❁❁
「また出ねぇし···」
チッと舌打ちして、スマホを放り投げる。
天「楽、イライラし過ぎ。社長にも報告済みだし、そのうち繋がるでしょ」
親父に?
「おい、天···なんで親父に報告なんてしてるんだ?」
ウチの事務所を離れたのに、親父に報告なんて関係ないだろ。
天「元、八乙女プロダクションにいた人間がトラブルに巻き込まれてたら、飛び火するだろうからね。それだけ」
天のヤツ、雑誌から目を離さずに言嫌がって···
龍「まぁそう拗ねるなって、楽。オレもずっと気になってるからサイト見てるけどさ、見て?サーバー調整中ってなってる」
スマホの画面を俺たちに向けた龍が、他のサイトも似たような感じになってるよ、と付け加えた。
天「ふ~ん···小鳥遊プロダクションに、仕事が早い人間がいるって事なんじゃない?」
楽「どういう事だ?」
天「だから、パソコン業務が早くて、手回し処理をしたってこと。良かったんじゃない?そのうち楽も愛聖と楽しいおしゃべりが出来るようになるんだから」
イチイチ突っかかる言い方しやがって、嫌味かよ。
龍「でもさ、いったい誰がこんな事をしたんだろう。きっと愛聖も怖くて眠れない夜だったんじゃないか?」
確かに···あいつは意外と怖がりなところがあるからな。
天「その辺は大丈夫でしょ?向こうには7匹のオオカミが群れを成してるんだから。怖くて寂しい夜は、それこそ···誰かのベッドで、誰かと眠ってたりして?」
楽「だ、誰かって誰だよ?!」
アイドリッシュセブンのメンバーをひとりずつ思い浮かべて、思わず叫ぶ。
天「さぁ?誰だろうね···ご想像にお任せするよ」
任されても困るんだよ!!
龍「誰だろうなぁ···あ、あのハーフの子とか?」
天「スキンシップと称してボディタッチ。変なところで素直な愛聖なら、そのまま食べられちゃうんじゃない?」
食べ···ウソだろ···
龍「じゃあ、あの大人しそうな感じの子は?」
天「大人しい人ほど···ベッドでは野獣に化けるかもよ?···なんて、あれ?楽、呼吸が止まってるみたいだけど、どうかした?」
「ほっといてくれ···」
天と龍の会話で余計な想像力を使い果たしたじゃねぇか。
ったく···疲れさせやがって···