第2章 7つの原石
『あの、和泉さんはお二人いらっしゃるので···』
二階堂さんのツルの一声でみんながようやく静かになり、それぞれ自己紹介と称して挨拶をしてくれた。
けど。
メンバーの中に兄弟で所属してるってことで、その人達をどう呼び分けしたらいいのか···を本人達に聞くことにした。
一「それでしたら、下の名前で呼んで頂いても構いません。普段から呼ばれ慣れてますので、その方が」
『それじゃあ···お兄さんが一織さん、弟さんが三月さん···とお呼びしますね?』
大「あ、地雷踏んだ」
一瞬静まり返る場に戸惑いを覚え、何か間違ってしまったかな?と二人の顔を交互に見てしまう。
三「言っとくけど、一織が弟な!」
···え?!
「す、すみません!私てっきり一織さんが···」
大「あ~、平気。良くある事だから」
三「おっさんが言うな!···とにかく、オレが兄の方な!」
パッと見···どうしても一織さんの方が落ち着いててしっかりして見えたから。
って、これは心の中だけに止めておこう。
陸「それよりさ!オレ達はどう呼んだらいい?」
七瀬さんが首を傾げながら私達を見る。
『私は新人の研究生なので、皆さんが呼びやすいように呼んで頂ければ大丈夫です』
環「じゃ、マリーね」
『え?!マリー···ですか?』
環「愛聖だから、マリーでいいじゃん?」
壮「環くん、初対面なのに愛称付けるのは···」
なんだかこの二人、昔の万理と千みたい。
あの頃も万理の家で千が、四葉さんと同じ事を言って私を愛称で呼び始めた。
その方が覚えやすい、とかいう理由で。
もっとも千の場合、怒ってる時は愛聖って呼ぶから、そう呼ばれる時は···あ、いま千は怒ってるんだなって感じてたけど。
ある程度、私が大人になって来たらマリーって呼ばれる事も少なくなって。
代わりに百ちゃんがマリーって呼び始めた。
一織さんが言ったように、呼ばれ慣れてる方がわかりやすいから···
『いいですよ、マリーで。よろしくお願いします』
そう返事をした。