第2章 7つの原石
❁❁❁ 大和side ❁❁❁
「社長も行っちゃたし、とりあえず自己紹介とかしちゃう?」
ソウが何を言いたそうにしてるのかは、俺には分かる。
社長が連れて来たのは、ちょっと前まで八乙女プロダクションにいた···佐伯 愛聖だから。
何を考えて移籍させたのかまでは分からないけどな。
最近めっきり、メディアには出てなかったし。
そこでの突然移籍ともなれば、まぁ~アレか?
大人の事情ってヤツか?
ま、その辺の大人の絡みってヤツは俺には関係ないけどね。
万「大和君、あとはお任せして大丈夫かな?俺ちょっと社長と打ち合わせがあるし、紡さんもこれからの事を一緒に相談しなきゃいけないから」
「はいはい。引き受けましょう。んじゃ、お兄さんが頑張りますかねぇ」
宜しくね~と、言いながら万理さんはマネージャーを連れてレッスン場から出て行った。
しかし、なぁ。
マネージャーは仕方ないとして、社長も万理さんも···よくまぁオオカミだらけの所に子羊ちゃんを残して行けるよなぁ。
それだけ信用されてるっていう事だろうけど?
ナ「ヤマト···早くワタシ達をレディーに紹介してくた下さい?」
···とりあえずナギだけは気をつけないと、だな。
「よし、全員ちゃんと並ぼうぜ?イチから順に自己紹介タイムしよう。で、佐伯さんとやらは既に自己紹介してるから、みんなはもういいよな?」
ナ「ワタシは六弥ナギです。マドモアゼル、あなたは、」
「こらこらこら!俺の話ちゃんと聞いてたか?イチから順にって言っただろ?」
ナ「Oh...ヤマト、ワタシの順番まで待てません···」
「ダーメ。これはリーダー命令だ」
三「なんちゅーとこでリーダー命令使ってんだよ、おっさん」
環「俺、腹減った」
壮「環くん、夕飯までもう少しだから頑張ろう?」
陸「今日はハンバーグだって三月が言ってたよな?」
一「兄さんの作る食事は美味しいですよ」
なんか、収拾つかなくなってるな···
『皆さん、とても仲良しなんですね。なんだか楽しそう』
彼女はそう言いながら隣でクスクスと笑い出した。
「これでもうちょい纏まりがあったら···お兄さん助かるんだけどなぁ」
やれやれと息を吐く俺を見て、更に笑いを零す。
そんな彼女を見て、俺も小さく肩を竦めて見せた。