第10章 不測の事態
❁❁❁ 百side ❁❁❁
‘ トップアイドルや女優、新人タレントを起用した注目度No.1のCMですが、それ以外でもポスターが軒並み剥がされてしまうという事態になり話題を読んでいます ’
情報番組のピックアップコーナーで、オレたちが仕事したあのドリンクの事が話題になってる。
オレも驚いたもんなぁ···
だって発売開始してから街のあちこちに張り出されたポスター!
マリーを挟んでほっぺにチューしてるMEZZO"!
ひとことで言い表すなら···
聞いてないよーーーーーー!!!!
って感じ!
「オレだってポスター撮りとかしたかった!」
思わず声に出せば、うるさいよ···とユキに怒られる。
「だってさ!ズルくない?!」
千「なにが?」
「オレたちの方ってポスター撮りなんてなかったじゃん!オレもポスター撮りの仕事したかったなぁ!とかさ」
思っていた事を次々と言えば、ちょっと呆れた感じでユキが目を閉じる。
千「モモ、もし僕たちがそれと同じ仕事をしたとするなら、その相手は愛聖じゃない···あの女とだよ」
あ···そっ、か······
千「それでもポスター撮影がしたいって言うなら、今からでも監督に頼めばいい。でも、そうじゃないならその撮影は僕たちには必要ないってことだよ。どんな経緯で壮五くんたちがポスター撮りに参加したのかは知らないけど、モモはとっくにキスくらい愛聖にしてるだろ?」
「そっか!じゃあ別に撮影通さなくても···えっ
、キス?!」
千「してた、よね?」
ニコリと微笑みながらオレを見るけど、ユキ···目が笑ってないよ?!
「い、いつかなぁ···う~ん···」
千「詳しく知りたければ、教えるけど?」
うっ···これは言い逃れ出来ないヤツだ。
多分ユキは、あの時の事を言ってると思う。
マリーが音信不通だった時、やっとユキが捕まえて、ユキの部屋に来た···あの夜。
ご褒美頂戴?ってマリーを騙すように軽く奪った、あのキスのこと。
見られてたのか···ユキに。
「ちょっとした、ジョーク···にするつもりだったんだけど···アハハ···ごめんダーリン!もうしないから許して?!」
とにかくダーリンに謝る自分を、まるで浮気した奥さんみたいじゃん?なんて思いながら、笑った。