第2章 7つの原石
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
レッスン場に社長が来て、どんな用事なのかと思いながらみんなと並んでいると···新しく入ったと言う研究生を紹介された。
『あの···初めまして、佐伯 愛聖 です』
え···?
いま、佐伯 愛聖 さんって言った?
その名前に驚きながら、女性に対して失礼だと思いながらも顔や姿を確認する。
多分···間違いない。
「すみません社長。僕の聞き間違いでなければ、彼女はいま···佐伯 愛聖 さんと···?」
まさかここにいるのが本物だと思えなくて、思わず社長に問いかけてしまう。
小「うん、そうだよ?」
僕が聞いた事に不思議そうにしながらも、社長はあっさりと肯定する。
「じゃあ、彼女はやっぱり···」
八乙女プロダクションにいた、女優さんじゃないですか?!と言おうとしたら。
三「あーっ!思い出した!!こないだ街中で万理さんと抱き合ってた人じゃん!!」
三月さん?!
万「えっ、俺?!」
「「 えぇっー!! 」」
三月さんの爆弾発言に、周りが一斉に声を上げた。
大「抱き合ってた、って。あ!あの時ミツが言ってたやつか?」
三「そうそう!壮五も見ただろ?!スーパー行った帰りにさ!」
「あっ···」
言われてみれば、あの日···確かに···
『万理が私と?』
万「多分···あの時の愛聖の事かな?」
「「 万理?! 愛聖?!···呼び捨て?! 」」
一「何をそれほど驚く事があるんですか。万理さんくらいの···いわゆるイケメンであれば、そういった人の一人や二人いるでしょう」
みんなが驚く中で、一織君だけは落ち着いてそう言い放つ。
万「一織くん、俺ってそんな不誠実に見える?」
一「一過性の例え話です」
万「一応、補足しておくけど。俺と愛聖はただの腐れ縁で、みんなが期待するようなロマンスはないよ」
ね?言って万理さんは愛聖さんの顔を見ると、彼女も笑っていた。
小「とにかく、今日から彼女をよろしくね?じゃ、あとは若い君達に任せるとしよう」
社長、そんなお見合いみたいな···
きなこと少し遊んであげようかなぁ~なんて言いながら社長は立ち去ってしまう。
···微妙な空気を残して。