第10章 不測の事態
環「さっき上から見てたけど、全然マリー乗れてねぇし。ヤマさんからも聞かれたけど、ボード乗るだけなんか超簡単だし」
『そんな運動神経が羨ましいなぁ···』
万「そうだね。愛聖はダンスとかは何とか頑張ってるけど、そういった類の運動神経は皆無···」
『だから万理!怒るよ!!』
ムゥっと頬を膨らませていえば、四葉さんは私も見てリスみたいだとゲラゲラと笑いだした。
環「マリーにはいつも勉強教えて貰ってんし、こんくらいなら俺が教えてやれんし。それにバンちゃん、教え方ヘタクソ」
万「教え方下手って言われても、そもそも乗れてもいないんだけどね」
環「だな。俺もそーちゃんとの仕事がない時はマリーにスケボー教える時間あるし、別に平気。バンちゃん、俺と交代な」
万「オッケー。それじゃ環くんにお任せします···愛聖がわがまま言っても聞かなくていいからね?」
『私いつワガママなんて言った?』
身に覚えありませんけど?と言えば、万理は苦笑を見せた。
四葉さんが万理と立ち位置を変わって、万理は救急箱はここにあるからと伝えて事務所に戻って行く。
『ホントに帰っちゃうとか、万理って薄情者···』
環「なんで?俺が教えるんじゃダメなの?」
『そうじゃなくて。万理だったらちょっとギューって捕まってても平気かな?とか』
環「俺にギューって捕まってても気にしないけど」
···それが四葉さんだと恥ずかしいんです!
とは、言えない。
環「ん···とりあえず俺に捕まっていいから、ボード乗ってみ?」
『じゃあ···よろしくお願いします、四葉さん』
それから後は、三月さんが夕飯だぞ!って呼びに来るまで四葉さんとの練習を続けていた。
環「だから、そこがダメなんじゃん。ヒザ曲がり過ぎ。へっぴり腰になり過ぎ。マリー、ちゃんと乗りたいなら頑張れ。じゃ、もっかいな?」
結構···スパルタだったけど。
三「こら!夕飯冷めるだろって!ふたりとも早く戻れよ!···とりあえずおまえらふたりして風呂が先!」
練習に夢中になってアチコチ泥んこ状態の私たちを見た三月さんが眉を寄せながら叫ぶ。
そんな三月さんを見て、私と四葉さんは顔を合わせて笑った。