第10章 不測の事態
万理に教えて貰いながらスケボーに乗る練習をして、早数日···
まだカッコよく滑るなんて到底出来てはないけど、万理に捕まってさえいれば両足をボードに乗せるところまでは形になった···と思う。
なのに万理が急に手を離すから、バランス崩してボードはズルズルと動くし!
怖いし!
転んだところが擦りむけて痛いし!
『万理のバカ!』
万「俺のせいかよ···」
だって万理が手を離すからじゃん···っていうやり取りも、いい加減···何回目なんだろう。
ちょっと拗ねてしゃがみ込めば、それを万理が覗いて来て。
万「ほら、立ってごらん。まずはボードに1人で乗れるようにならないと、カッコよく滑るなんて出来ないだろ?ちゃんとついててあげるからさ?」
『ホントに?絶対離さない?』
万「離さない離さない。ほら」
そう言って拗ねる私に手を差し伸べる。
『今度は急に手を離したらヤダからね?』
万理の大きな手に自分の手を重ねれば、ちょうどそこに誰かの足が見えて···
環「バンちゃん、マリー···なにしてんの?」
『四葉さん?!···なにって、スケボーの練習···かな』
万「練習って言っても、まどボードにもまともに乗れてはないんだけどね」
『万理!』
ケラケラと笑いながら言う万理に、これから乗れるようになるからいいの!と抗議して、また四葉さんを見る。
環「ふ~ん···マリー、ちょっとそれ貸してみ?」
『それって、これ?』
言われるままにボードを四葉さんに渡せば、四葉さんはサッとボードに乗って軽やかに滑り出した。
『凄い!四葉さんカッコイイ!四葉さんってダンスもカッコイイけど、ボードにも乗れるんだね』
環「ん···超簡単」
超···簡単?!
万「まぁ、環くんには簡単かも知れないけど、愛聖の運動センスからしたら超難関って感じ?」
悔しいけど、それに関しては反論出来ない···
環「つうか、なんでマリーが練習してんの?」
『あ、それは···ね···』
こういう状況になった経緯を話せば、四葉さんは仕事で必要なら万理じゃなくて自分が教えてあげようか?なんて言って、指先で頬を掻いた。