第9章 ふたりぼっちのスタート
壮「借りていた物を返却しに行った時に、愛聖さんのコーナーが出来てて。それで前に1度大和さんと借りた作品以外って、どんなのがあるのかなぁ···って。リアルタイムで見た事がある作品もあるけど、それ以外の作品も見てみたいなって思ったから」
···なぜ、レンタル店に私のコーナーなんて出来てるんだろう。
壮「そう言えばポップ書きには、 « 事務所移籍で話題の女優 佐伯 愛聖 の過去作品特集! » とか書いてあったけど」
万「壮五くん、他のも見たかったら俺が貸してあげるけど?」
『万理が貸してあげるって、どういうこと?!』
万「ん?実は俺、愛聖の出演作品とか出したCDは全部持ってるからね」
どうだとばかりに胸を張って言う万理に、万理の部屋にはそんなの見当たらなかったけど!と抗議してみる。
万「だって、見える所に置いとくと処分されそうだったから隠したんだよ。俺の部屋に来た初日は見える所にあったけど、気付かなかった?」
気付かなかったよ!!
あの時は、それどころじゃなかったし!
『なんか···せっかく三月さんの美味しいご飯を食べたのに、消化不良起こしそうだよ···万理のせいで』
万「なんで俺?!」
テーブルにぺたりと貼り付いて顔を隠せば、その手にヒヤリとした物が渡されてそっと薄目で見てみる。
『王様プリン?』
なんでいま?!と顔を上げれば、既に王様プリンを食べ始めている四葉さんが片眉を上げて私を見る。
環「王様プリン食えば、腹痛くなっても治る」
三「治るかい!!むしろ腹痛い時に食うなよ!」
壮「そうだよ環くん。もうこんな時間なのに甘いものなんて」
環「王様プリンは別。デザートは別腹って言うじゃんか。な、マリー」
そうかも知れないけど、そこは逢坂さんが言う通り時間帯が···とこっそり時計を見る、けど。
『デ、デザートは別腹!』
環「だよな!さすがマリー!」
王様プリンって美味しいよね~?と四葉さんに言いながら封を開ければ、すぐに甘い香りが広がって···
万「こんな時間にプリン食べるとか、ウエイト増えても知らないぞ?」
『いいの!その時はジョギングしてダイエットするから』
環「んじゃ、俺も一緒に走る。どんな事でもひとりより、ふたりの方がいいってももりんが言ってたし」