第9章 ふたりぼっちのスタート
『まぁ···いつまでもスケジュールが白いままじゃ、カッコつかないし?』
環「マリー、ドラマとか映画に出んの?···スゲーな···」
『まだ決まったわけじゃないよ。これからいろんなオーディションを受けて、合格したら···かな?』
八乙女社長の所にいた時は、こんなにたくさんのオーディションを受けるなんて事はなかったけど。
それはきっと事務所の力というか、八乙女社長の顔の広さもあったんだと思う。
もちろん、小鳥遊社長の顔が広くないっていう事でもなくて、ただこれからは自分の力で駆け抜けて行きたい。
そう、思ってるから。
万「社長に少し見せて貰ったけど、ちょい役から主演まで幅広いオーディションみたいだけど、頑張れそう?」
『当然!私を誰だと思ってるの?···なんて』
環「おぉ···なんかマリーがカッコイイこと言ってる」
万「カッコイイこと言ってても、泣き虫の甘えん坊な所は隠せないけどね?」
『ちょっと万理!それは内緒!』
三「内緒って言いながら、自分で暴露してるようなもんだぞ?」
うぅ···万理と三月さんには言葉じゃ勝てない気がする。
壮「でも、僕は例え端役でも···愛聖さんはきっと観る人の注目を浴びるような演技をするんだろうなって思えるよ」
『そんな風に言われたら、ちょっと照れるかも···』
前髪を直すフリをしながら言えば、隣で万理がクスクスと笑い出す。
万「今のは壮五くんのリップサービスだったりして」
『うそ?!』
壮「えっ?!違うよ万理さん!僕は本当にそう思ってるから···だって、前に見た初主演のドラマも凄く雰囲気が変わって行く様子とかびっくりしたし···凄いなって思ったから」
『ほら!万理ちゃんと聞いた?!逢坂さんが私の初主演のドラマ見て···』
ん?
えっと···?
初主演って、まさか···逢坂さんアレを見たの?!
『ちょっと、お尋ねしますが···もしかしてそのドラマというのは?』
壮「もちろん、愛聖さんの初主演デビュードラマのDVDをレンタルして見た、けど?」
『Noooooooo!!!』
万「わっ、びっくりした!」
三「お前はナギか!」
まさか逢坂さんがあのドラマを見てい···しかもまたレンタル?!
『逢坂さん、どうしてそのドラマを見ようと思ったりしたんです?!』