第9章 ふたりぼっちのスタート
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
「すみません···僕たちまで一緒に車に乗せて貰って···」
隣で運転する社長に言えば、社長はニコニコとしながら僕を見る。
小「全然!だってみんな同じ場所に帰るんだから、その方が僕としても安心だからね」
愛聖さんの方の仕事が早く終わったからと、僕たちのところに顔を出してくれた社長に連れられてRe:valeの控え室に行った時には驚いたけど。
まさか局に着いた時の環くんの発言で社長直々にRe:valeのところにお詫びに?!とか思ったら、ドアの向こうから楽しそうに笑う3人の声が聞こえて来て。
どういう事だろうと社長に訪ねたら、僕たちのところにいる間、愛聖さんを預かって貰ってた···とか。
社長が安心して愛聖さんを預けるだとか、さすがRe:valeだな···とか思った。
それ以前に、千さんがあんな風に笑うだなんて僕はびっくりしたけど。
千さんは···いつもクールなイメージがあったから。
環「なぁ、マリー。Re:valeとマリーって、スゲー仲良しだよな?」
『ぅ···ん···』
環「ボス、マリーが半分寝て···あ、寝た」
小「環くんが大丈夫なら、そのままにしてあげて?」
バックミラーをチラリと見た社長が、目を細める。
そのままって···?
そっと振り返ると、後部座席の環くんに寄りかかるようにして愛聖さんが寝息を立て始めていた。
「珍しいですね···いつもならこんなことないのに」
小「それだけ心許せる環境なんじゃないかな?それにほら、車の揺れって意外と睡魔を呼び寄せたりもするでしょ?子供の頃の紡くんも、どこかへ出かけた帰りはこうやって寝ちゃってたりしたから」
昔を思い出しながら微笑む社長の言葉を聞きながら、それじゃまるで愛聖さんが子供扱いされてるようだと僕も笑ってしまう。
本人が聞いたら、子供じゃないもん···と大和さんに言うみたいに拗ねるんだろうけど。
そういう所がまた、かわいく思えてしまう僕もいるけど。
···って、なに考えてるんだ僕は。
コホン···と小さく咳払いをして前を向き直す。
今日の仕事は、何度か撮り直しをしてしまった。
僕たちがしっかりしないと、これからのことがあるのに。
それに環くんの時間管理だって···