第9章 ふたりぼっちのスタート
❁❁❁ 三月side ❁❁❁
レードルでロールキャベツのスープを味見して、あとはゆっくり煮込めば···と火を弱める。
だけど嬉しいよな!
愛聖がオレの作ったロールキャベツが食べたいっていうリクエストくれるとかさ。
そんなこと言われたら、作る気合いも入るってもんだよ。
後は煮込めばいいだけだし、せっかくだからパンも焼くか?
材料は揃ってるし、米もタイマーかけた。
焼きたてのパンも作っとけば、きっと愛聖も喜ぶだろ?
確かクロワッサンとかパン屋で買って来てるの何回か見たから、クロワッサン好きなんだろうな。
ちょっと手間がかかるけど、時間ならあるし、残っても明日の朝また食べれるから。
そうと決まれば···いっちょ頑張るか!
大「なぁにニヤニヤしてんだミツ?」
「いたのかよ、おっさん···つうか、ニヤニヤなんかしてねぇよ!!」
大「してたしてた。どうせ愛聖が好きな物作ったら喜ぶだろうなぁ?とか考えてたんだろ?ヤラシイなぁミツは」
「なにかヤラシイんだよ!そんなこと考えてないっての!」
ちょっとだけしか!
ったく、勝手に人の心を読むなっつうの!
大「ほ~ん?で、ミツはまた今からなにを作るんだ?夕飯の支度なら終わってそうだけど?」
チラッとキッチンの様子を眺めて、大和さんがニヤリと笑う。
「ついでだからパンでも焼いとこうかと思ったんだよ。愛聖はよく、商店街のパン屋でクロワッサン買って来てるだろ?だから、帰ってきた時にクロワッサン焼いといてやったら喜ぶだろうって」
大「やっぱ、思ってんじゃん?」
しまった···自分から暴露しちまったじゃないか!
陸「三月、クロワッサン焼けるの?オレにもなにか手伝えることあるなら手伝うよ」
ナ「クロワッサン焼いたら···マリー、喜びマスか?」
あぁもう!
なんかみんな集まってきちゃったじゃないか···
大「ミツは、自分一人で愛聖からお褒めの言葉を貰おうとしてるんだよなぁ?よしよし、いい子だねぇって、な?」
「子供かよ!オレはちゃんと大人だからな!税金もちゃんと払ってんぞ!」
大「そうだっけ?じゃ、そういうことにしといてやる」
「おっさんも暇なら手伝え!陸とナギもだ!」
チョロチョロしてるメンバーに向けて、エプロンを投げ渡した。