第9章 ふたりぼっちのスタート
❁❁❁ 壮五side ❁❁❁
「環くん、走ろう!」
環「えー、いまも走ってんじゃん」
「もっと早くって事だよ。僕たちみたいな新人が時間に遅れるなんてダメだよ。ちゃんと5分前には全て準備が終わってないと」
環くんの学校が終わる時間に待ち合わせをしてたけど、掃除当番があっただとか言って···随分と遅れて学校から出て来た。
先に出て来た一織くんから聞いたところ、普段の行いのせいで急遽···掃除当番をさせられていたらしくて。
こういうの、困るよ環くん。
これからは僕たちがしっかり活動していかないと、他のみんなにも嫌な思いをさせてしまうから。
社長にも···みんなのこれからの為にも頑張って欲しいって言われてるのに。
環「そーちゃん、あとどれくらいで着く?」
「もう少しだよ。ほら、あの建物がそうだから、頑張って」
2人でバタバタと足音を鳴らして街中を駆け抜け目的の建物へと入る。
環「そーちゃん、どっち!どっちに行けばいい?!」
「待って···えっと確か、こっち···ではなさそうだけど···」
環「だから、どっちに行けはいいんだよ」
長い距離を走り続けたせいか、局内の地図が上手く思い浮かばない。
「環くんが頑張ってくれたから、予定通りに近い時間には着いたんだ。間違ったら元も子もないから、ここは誰かに場所を聞こう」
周りを見回して、部屋を聞けそうな人を探す。
でもここはテレビ局で、誰もが早足で動き回っていて···
環「そーちゃん!」
「だから、少し待ってって言ってるのに」
ため息を吐きながら環くんを見て、もう一度、局内の地図を思い浮かべてみる。
「あれ?もしかしてマリーと同じ事務所の···」
愛聖さんの事をマリーと呼ぶ声に反応して振り返る。
環「あ···Re:vale」
「百さん!」
百「やっぱそうか!前に会った時は衣装来てたからさ!で、どしたの?もしかして迷子?」
ニコッと笑いながら僕たちの方へと百さんが歩いて来る。
その後ろには、当然ながら···
千「モモ、僕たちが行く方はそっちじゃないけど?」
環「おぉ、ゆっきーもいた」
千「···ゆっきー?」
「環くん!ダメだよ、大先輩なのにそんな呼び方したら!すみません、失礼な事を」
慌てて環くんの前に立ち、Re:valeの2人に頭を下げた。