第9章 ふたりぼっちのスタート
千「モモ···なに言ってるの?」
あ、やば···ユキがもの凄ーくあきれた顔でオレを見てる。
いまのはちょっと、ふざけすぎたかも?!
「い、いまのは冗談、」
千「愛聖の胸は、もっとちゃんと上向きでフワフワだよ」
上向きで···フワフワ?
千「それからサイズは僕の手より余裕で上回ってて···」
うんうん···ユキの手からはみ出すくらいのって?!
「ユキー!!思わず真剣に聞き入っちゃったけど、いつ見たの?!いいい、いつ触ったの?!」
もしかしてオレが知らない時にユキとマリーがいろいろ凄いことに?!
千「···知りたい?」
フッ···と小さく笑うユキに、ブンブンと音がするほどの勢いで頷く。
千「じゃあ教えてあげる。あれは確か、僕の家で愛聖がシャワーを浴びてる時に愛聖に一緒にどう?って誘われて···」
「さっ、誘われて?!」
ユキが話す内容にドギマギしながらオレの想像力がエンジン全開で動き出す。
ユキの家のシャワールームで、湯気に包まれたマリーが···ユキと···?
ヤバイ···もうそれだけで鼻血出そうなんだけど!!
千「って言うのはウソ」
ん?
「ウソかーい!!」
千「愛聖が僕をシャワーに誘うはずないだろ?ガッチリ鍵かけてるんだから」
「だっていま凄くリアルだったよ!湯気のたつバスルームでマリーとユキが見つめ合ってた!とかさ!!」
千「僕···そこまで言ってないんだけど?」
しまった!いまのはオレの素晴らしい想像力だった!
千「モモは···愛聖と僕をそういう演出で妄想してるのか···なるほど」
「ちっがーう!」
クスクスと笑うユキに、これ以上なにを言ってもダメだってのはオレも分かってる···けど、ひとつだけ聞けるとしたら。
「あ、のさ、ユキ?」
まだオレより、バンさんの事をパートナーにしたいって思ってる?なんて、聞けない、か。
「やっぱ···なんでもないや···」
千「モモ。僕のパートナーは···モモだから」
乾いた笑いを漏らすオレに、ユキが小さく呟いた。
「ホント?」
千「これはホント」
ダーリン愛してる!!
胸の奥で大きく叫び、表し切れない嬉しさを抱きしめてギュッとユキに抱きついた。
千「モモ···重いから···」