第9章 ふたりぼっちのスタート
小「今日の打ち合わせは、最初から監督さんも同席するから細かい所まで決められそうだね」
『そうですね。今回の監督さんは、八乙女社長の所にいた時にもお世話になった事がある方なので、ちょっと緊張します』
前にご一緒させて頂いた時は、怖い···という印象の方か強かったから。
小「厳しい指導で有名だけど、それだけいい物を作り上げる監督さんだからね···なにかあったら僕もいるんだし、大丈夫だから安心して?」
ニコニコと笑いながら社長が言って、あぁ、そうだった!と赤信号で止まったタイミングで私と顔を合わす。
小「急に決まった事だったから愛聖さんに言い忘れてたけど。今回のCMってね、愛聖さんの出演するのとは別のバージョンでRe:valeバージョンがあるんだって言ってたよ」
『えっ?!』
急に決まったって···まさか、ね···?
小「なんでも聞いたところによると、Re:valeの方から出演したい!って話が持ち上がって、監督さんとも仲良しみたいだし急遽決まったそうだよ」
あぁ···なんか···そのまさかの方だった···
前にTRIGGERと共演した時、やたら百ちゃんが今度はRe:valeと!なんて言ってたしなぁ。
そんな時に私が今回のCMのお仕事貰ったんだって話しちゃったから、交友関係の広い百ちゃんがやらかしてくれた···ってところだろうか。
だけど別バージョンってことは、Re:valeと絡む共演ってのはないかもだし、慌てることはないかな?
ちょっと、待って??
『社長、今日ってCMの打ち合わせですよね?もしかしてRe:valeも来る···とか?』
小「そこまで詳しくは聞いてないけど、全員揃うって言ってたから来るんじゃないかな?なにか気になる事でもあるかな?」
『いえ、そういう訳じゃないんですけど』
ただ、今日の打ち合わせは社長の側から離れないようにしておこう。
じゃないと···千も百ちゃんも、きっといつもの感じで構いに来るから。
そこからまた監督さんが盛り上がって、変な方向に話が進んだりしたら···あ~···でも仕事選べる立場でもないからなぁ、私。
この後の心配事で頭がいっぱいになりながら、流れ行く景色をぼんやりと眺めていた。