第9章 ふたりぼっちのスタート
大「愛聖。今夜は仕事終わったら直帰するだろ?希望聞いてやるよ、なに食いたい?」
考え事をしている所へ二階堂さんが声を掛けてくる。
『二階堂さんがメインで作るんですか?』
大「いや?ミツだけど」
三「オレかい!」
あれ?さっきは二階堂さんも手伝うって言ってたような?
大「メインはミツ、オレは補助だよ。オレはソウの代わりだからな。で、なにがいい?」
そうなにがいいか?なんて急に聞かれてもなぁ。
遅めになっても温め直して食べれて、ちゃんと野菜もお肉もってなると···あ!
『三月さん、ロールキャベツ!私、三月さんのロールキャベツ好きです!鶏ひき肉で作る優しい味のやつ!』
前に食べた時に、どこか懐かしくて優しい味がして、ホッとするロールキャベツだったから。
三「ロールキャベツかぁ···お、材料はあるから作れるぞ?そんじゃ、ロールキャベツと···あとは適当に見繕うか?」
『やった!帰って来たら三月さんのロールキャベツをお腹いっぱい食べます』
三「おぅ、任せとけ!愛聖と環がたらふく食べても良いように作っとくからな!」
笑いながら言う三月さんに向けてガッツポーズを見せ、時計をみれば···そろそろ支度をしなければならない時間にもなっていて慌てて部屋へと戻り支度をする。
今日は社長の車で打ち合わせに出向くから、送れないようにしないとだし。
打ち合わせとは言え仕事だから、身支度もそれなりにきちんとしなければ社長に恥ずかしい思いをさせてしまう。
ドレッサーに向かい合って、まだ完治しない手でちまちまと念入りにメイクを施し、服を着替えて···残るは髪型···なんだよなぁとため息を吐く。
いつもなら、ちょっとした髪型なら手先が器用な逢坂さんが手を貸してくれるけど、今はいないし。
万理に···って言っても、その為にわざわざ呼び出すのは気が引ける。
言えば来てくれることは間違いないんだけど、万理だって仕事があるから。
う~ん···そうなると、あとはナギさんにお願いするしかないけど、ここなちゃんスタイルはお仕事向きではないからなぁ。
でも、他の人にはお願い出来る事でもないし、なにより迷ってる時間もない。
ここはひとつ素直に···ナギさんにお願いしよう···
ブラッシングだけした髪を靡かせながら、急いでナギさんの部屋へ向かった。