第9章 ふたりぼっちのスタート
三月さんの部屋に泊めて貰ってから数日、なんだか三月さんの様子が···変?
なにか言いたそうにしてるのに、なにも言わないような感じで。
もしかして私···寝てる時になにかしちゃったのかな···?
寝相が悪過ぎて、三月さんを蹴った···とかだったらどうしよう?!
それとも、おかしな寝言を言ったりとか?
···ありえる。
万理の家に居た時も、朝起きたら万理がやたら私を見て笑ってた事があった。
気になるから万理を問い詰めてみれば、まぁ、うん···変な寝言をはっきりとした口調で言ってた···って言われた。
しかも、万理宛に。
卵焼きにはご飯でしょ!ご飯も欲しい!···とか。
うぅ···思い出すだけで恥ずかし過ぎる!!
もし···三月さんにもそんな事を叫んでたりしたら、どうしよう!
『穴があったら入りたい···むしろ自分で掘ってでも入りたい···』
三「は?なに言ってんだ愛聖。しかもさっきから青くなったり赤くなったり、忙しいヤツだな」
『三月さん?!』
リビングのソファーで縮こまる私を、通りすがりの三月さんが覗き込む。
『あの、三月さん···ちょっとお伺いしたい事が』
三「お伺いって?」
『この前、三月さんのお部屋に泊めて貰った夜···私なにかしちゃいました、か?』
三「いや、別になんも?」
良かった···とりあえずは寝相悪くて蹴ったとかじゃないみたい。
『じゃ···じゃあ!ね、寝言···とかは?』
三「寝言?それも別に···あ···ハハッ···」
こっちがビンゴかぁ!!
『もしかして私、凄い恥ずかしいこと言ってたんですか?!』
三「恥ずかしいことって言うか、まぁ···うん、アレだ」
どれですかっ?!
三「オレと···万理さんを間違えて、だな」
ま、間違えて···寝言···ま、まさか···?
三「············抱き着いてきた」
・・・・・え?
『う、うそ···』
三「なんなら再生すっか?···万理、寒い、ギューってして···だったぞ」
み、三月さんが千じゃなくて良かった···じゃなくて!!
状況を思い浮かべて頭が爆発しそうだよ!
三「ムリに引き剥がすのもって思ったから、そのまま寝たけどな···暖かかったし」
言いながら顔を赤らめる三月さんと向かい合いながら、暫く動けずにいた。