第9章 ふたりぼっちのスタート
一織さんの後に続いて私の部屋へ戻る。
ドアを開ければ、そのベッドには四葉さんが王様プリンのぬいぐるみを抱きしめて横たわっていて。
『寝てる···』
一「ひと足、遅かったようですね」
既にスヤスヤと寝息を立てて眠っている四葉さんがいた。
壮「環くん起きて!ここは愛聖さんの部屋だよ!」
逢坂さんがユサユサとゆすぶっても、起きる気配は全くなさそうで。
これだけ寝付いてしまっているなららムリに起こすのも可哀想な気もするし。
きっと苦手な勉強を頑張ったから、脳から疲れちゃったんだなぁ···と布団を掛け直してしまう。
『今夜はこのまま寝かせてあげましょうよ?ムリに起こすのもなんだか気が引けるし』
一「なにを言ってるんですか。四葉さんがここで寝るという事は、今夜あなたはどこで眠るつもりですか」
『それなら私が四葉さんの部屋で寝ても?』
壮「それはお勧め出来ないよ。だって環くんはベッドでお菓子を食べたりしてるから、きっと寝心地は良くないと思うし」
ベッドでお菓子食べるとか···四葉さんって···
『じゃあ···リビングのソファーで寝ます』
壮「そういう訳にも行かないよ。女性をそんな所で寝かせるとか、僕は賛成出来ないよ」
一「どうしても起きないのなら、寝てるまま運び出すしかなさそうですね···人を集めましょう」
ふぅ···と小さくため息をついて、一織さんが誰かを呼ぶために部屋を出ていった。
『寝てるまま運び出すって言っても、四葉さん···重そうですね』
寝てる人間は、そもそも脱力してるのもあって重く感じてしまう。
そうなると、四葉さんみたいに体の大きな人を抱えるには、それなりの人数も手間もかかる。
それに、これだけスゥスゥと気持ち良さげに寝てるのを起こすのも運び出すのも···
私はどこか適当な所で寝ればいいし。
まぁ、そうなると四葉さんの部屋かリビングのソファーしかないんだけども。
ま、ひと晩眠る場所なんてどうにだってなるっしょ!
漫画喫茶とかでも平気で寝れてたし。
それに比べたら、見知らぬ人が出入りしてる訳じゃないから、安眠は確約されるから。
三「愛聖、入るぞ?」
一織さんに呼ばれて、元々この部屋にいるメンバー以外がゾロリと揃う。
大「あちゃー···タマのやつ、完全に寝ちまってるなぁ」