第9章 ふたりぼっちのスタート
環「つうか、そーちゃん遅くね?俺、眠くなって来たし」
私の肩に凭れたままの四葉さんが、あくびをしながら目を擦り始める。
『お湯沸かしたりしてるのかな?私ちょっと見て来ますね?四葉さん、もし良かったら少しの間ベッドでゴロゴロしてても構いませんよ?』
環「マジで?じゃあ、ちょっとだけ」
体を離して、う~ん···と伸びをする四葉さんに笑いかけながらキッチンへと向かえば、そこには一織さんもいて、逢坂さんが人数分のカップを並べてハーブティーをカップに注いでいる所だった。
一「逢坂さんに聞きましたよ。また四葉さんの勉強を見ていたんですね···お疲れ様です」
『お疲れ様って、別にそんなに疲れてないですよ?どっちかと言うと、その後の方がどっと来たと言うか』
一「その後とは、なにがあったんです?」
『えっ?あー···うん、まぁいろいろかな?』
まさか、ご褒美を強請られて四葉さんと逢坂さんに頬キスしました!なんて、言えないよ。
絶対···怒られそうだしね。
ポリ···と頬を掻いて逢坂さんを見れば、逢坂さんはさっきの事を思い出したのか耳まで真っ赤にしながらも苦笑を浮かべていた。
壮「そうだ愛聖さん。環くんはどうしたんですか?もしかして僕が遅かったから、もう自分の部屋に戻ってしまったとか?」
『あ、そうそう。私がここに来たのはそれだったんだ。あのね、四葉さんが逢坂さんが遅いって言うから様子を見に来たんです。四葉さん眠くなって来たって言うし』
壮「じゃあ、環くんは部屋で寝ちゃったかな?」
『いえ、私の部屋にいますよ?ゴロゴロしたいって言ってたから、逢坂さんが戻るまでベッドでゴロゴロしてもいいですよ?って言って出て来たんです』
「「 えっ?! 」」
ちょっとゴロゴロするだけなら、別にいいかな?なんて思うし。
そう付け加えようとしていると、一織さんと逢坂さんが顔を合わせて驚きの声を上げた。
『えっと?なにか問題ありました?』
一「問題もなにも、四葉さんが眠いからゴロゴロすると言う時は、すこぶる寝付きが早いんです」
壮「あっという間に寝てしまって···起こすのは大変なんだよ」
あらら···そうだったのか。
壮「もしかしたら、もう寝付いてしまっているかも」
一「その可能性はありますね···佐伯さんの部屋に急いで戻りましょう」