第9章 ふたりぼっちのスタート
ヤマさんが夜、ビール買いに行くっ出てった後···途中で会ったからってマリーと一緒に帰って来る事が何回もあった。
みっきーも、スーパーの閉店セールにひとっ走りしてくる!って行って、ヤマさんと同じようにマリーと一緒に帰って来た。
そーちゃんもコンビニ行くって、帰りはマリーと一緒だった。
いおりんだって、シャーペンの芯が切れたから買いに行くって出てって、マリーと帰って来たり。
いま思えば、おかしいよな。
“ あの ” いおりんがシャーペンの芯が切れたからって、言わなくね?
買い置きとかしてるだろうし、他のみんなから貰うとかするじゃん普通。
みんなのそういうのって、きっとマリーの事を途中まで迎えに行ってたんだ···
みんな、マリーがタクシーとか乗らないの知ってて、夜とか危ないから適当に理由つけて迎えに出てたんだ。
知らなかったの、俺だけだったじゃん。
「マリー、次は···俺が迎えに行くから、待ってろ」
『迎えって、なんのですか?』
モヤモヤしながら言えば、マリーはちょっとびっくりして、また振り返った。
「いーの。そん時になったら分かる···と思う」
次があったら、絶対に俺が迎えに行くから。
くっついたままのマリーの肩に自分の頭を乗せて、小さくため息を吐く。
『四葉さんが優しいのは、ちゃんと知ってます。だから···寄っかかっちゃおうっと!』
「おぅ、いいぜ?ちゃんとイスになっとくから」
変に倒れたりしないように、寄りかかって来たマリーをギューって抱きしめながら自分も壁に背中を預ける。
なんか、こういうのって、いいな。
「なぁ、マリー。バンちゃんとか、ゆっきーにも···こういうのするの?」
『万理にはした事あるよ?でも千は逆。向こうがわざと寄りかかって来る感じ』
「ふ~ん、そっか···」
返ってきた答えになんでか分かんねぇけど、ちょっとだけモヤモヤする。
「あのさ?いつでもイスになってやんから、疲れたらいつでも俺のこと呼んでいいからな」
バンちゃんでも、ゆっきーでもなくて。
マリーが寄りかかるのは、俺にして欲しいから。
ケガが治っても、ずっと···ずっと。
それくらいなら、いいよな?
···マリー?