第9章 ふたりぼっちのスタート
❁❁❁ 環side ❁❁❁
マリーからご褒美貰えんなら、また勉強会するのもいいかもな。
とか、思ってたら。
『ハァ···なんだか変に緊張したぁ』
そう言ってマリーがテーブルにペッタリと突っ伏した。
「マリー、疲れたの?」
『ん~、疲れたって言うより今ので変に緊張して肩凝った感じかも?逢坂さんが戻るまで軽くストレッチでもしとこうかな』
肩凝ったからストレッチとか、なんかヤマさんみてぇだな。
「肩凝ったんだったら、俺が肩もみしてやんよ。結構上手いぜ、いっつもヤマさんの肩もみ係してっから」
『そうなんですか?二階堂さんは凝り性なんですね』
「すぐ疲れたとか、肩凝ったとか、腰痛いとか言うぜ?みっきーがオッサン!って言うのも分かる···ほい、こっち来てみ?」
壁に寄りかかってた自分の足を伸ばして、間に来いよと呼べば、なんでかマリーはちょっと照れながら···じゃあ、って言って俺の前に座った。
なんか、こうやって近くで見るとマリーってみっきーより小っせぇな。
肩とか、ギュッてしたらなんか壊れそうだし。
それに、ヤマさんと違って···柔けぇ。
『四葉さん、ほんとに上手かも。あっという間に肩凝ったの取れちゃった···ありがとうございます』
「ぅす」
言いながら振り返ったマリーの顔が、思ったより近くて、なんか···照れる。
マリーの肩越しからは、簡易ギプスの巻かれた手首が見えて、ゆっくりと手を伸ばしてそれを包んだ。
「あの、さ、マリー。これ、まだ···痛い、よな?」
『まぁ···必要以上に動かさなければ大丈夫。どうしても痛かったりしたら、痛み止めあるから平気だし』
痛み止め···この前キッチンで飲んでたのって、もしかしてその薬なんじゃ。
「ごめん···俺のせいで、マリーがずっと痛いのとか、ホントごめん···」
『だから、前にも言ったけど四葉さんのせいじゃないから。これは私の自己責任』
「違う。俺の···せいだし。ヤマさんにもいっぱい怒られて、いおりんにも怒られて···そーちゃんにも、ナギっちにも、りっくんにも···怒られて」
『そんなにいっぱい怒られたの?!なんか、それこそごめんね』
「みっきーはなにも言わなかったけど、でも、それが一番堪えた」